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朝日新聞柏支局長のコラム

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ハラスメント防止条例

 

「市の職員から市議のハラスメント相談を受けたため、議会に協議をお願いしました」。柏市議会が5月、市議によるハラスメントの実態調査アンケートの結果を公表し、防止条例もつくると発表した。経緯を聞くと議長はこう答えた。
 市職員157人が市議から「パワハラやセクハラを受けた」とするアンケートの結果。報道されれば「柏の市議って、こんなにひどい」と言われる。それを承知で公表し自らを律する条例もつくる。現状への危機感の表れだと理解した。
 東北にいた時、県議会の女性職員が男性県議からのハラスメントを訴え、別部署に異動したことが分かった、と記事にした。初報でセクハラかパワハラかには触れなかった。県議は記事に猛反発したが、やがてセクハラの訴えだと明らかになった。その後、職員は東京に出た。県議は落選した。
 私の故郷、北海道の友人は町役場に就職後、「議員は威張り、同僚は黙っている」と話していた。アイデア豊かで快活だった彼は、やがて物静かになった。
 議員と自治体職員は、同じ地方公務員で住民に行政サービスを提供する共通の使命を担うはずだ。どれだけの職員の能力と思いが、これまで、すり減らされてきたのだろう。友人の町は、過疎になって久しい。

朝日新聞柏支局長 斎藤茂洋


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