ふなちゃんの音楽ジャングル

VOL . 178 マイケル・フランクス 健在なり。

The Music In My Head/ Michael Franks

  マイケル・フランクス。私が彼の紡ぎ出す音楽に出会ったのは1975年のことでした。ああ、そんなに昔のことなんだなぁ……とため息のひとつも出てしまいますが、静かな衝撃を受けたことをはっきりと思い出せます。実質的なデビュー盤である『Art of Tea』。レコードに針を落とすと1曲目の「Nightmoves」が流れ始めます。もちろん、その当時はまだCDではありません。針を落としてからかすかに鳴るノイズの音も新しい音楽に出会うためのイントロダクションなのです。ラリー・カールトンの泣くようなギターフレーズ。ジョー・サンプルのコロコロと転がるようなエレクトリック・ピアノ。マイケル・ブレッカーやデイヴィッド・サンボーンのサックス。ジョン・ゲランのタイトなリズム。ウィルトン・フェルダーの堅実なベース(彼は人気フュージョン・バンド“クルセイダーズ"のサックス奏者です)、そして、巨匠トミー・リピューマのプロデュース。さらに、1977年にリリースされた『Sleeping Gypsy』では完全にノックアウトされました。名曲として名高い、ボサノヴァの父とも呼ばれるかのアントニオ・カルロス・ジョビンに捧げた「アントニオの歌」、「パパがコルトレーンなら、この子はマイルスみたい」と歌う「淑女の想い」、金太郎飴のようにゆったりと転調してゆく「はるかなるブラジルの地(Down In Brazil)」など、ジャジーで都会的な音楽性が高く評価されるに至りました。
 さて、そんなマイケル・フランクスもすでに73歳ですが、7年振り、通算18作目の新作『ザ・ミュージック・イン・マイ・ヘッド』がリリースされました。トレードマークのジャジーでメロウなサウンドも健在なり。チャック・ローブ(guitar)、ギル・ゴールドスタイン(piano)、ジミー・ハスリップ(bass)、デヴィッド・スピノザ(guitar)、ホメロ・ルバンボ(guitar)、ボブ・ミンツァー(sax)他、腕利きミュージシャンに支えられたハイクオリティで優しい音楽は、きっとあなたの夏を癒やしてくれることでしょう。


船守秀一(音楽プロデューサー・http://www2.odn.ne.jp/obbligato/)

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