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朝日新聞柏支局長のコラム

目標


 フィギュアスケートの浅田真央選手が現役引退を表明した。個人的にも寂しい思いがこみ上げてきた。
 名古屋本社のスポーツ部でデスクをしていた時、ちょうどバンクーバー五輪の時で、浅田選手の地元である名古屋の朝日新聞の紙面を盛り上げようと、いろいろ工夫したことを思い出した。私にとっても思い入れのある選手だった。
 12日にあった引退会見。発した言葉一つひとつに耳を傾けた。それぞれに重みがあったが、中でも考えさせられる言葉があった。
 低迷した昨年12月の全日本選手権から引退発表まで長い時間があった。浅田選手は、平昌五輪に出る目標を口に出して言ったこと、そして目標に対して「やり遂げなきゃいけないと思って」と葛藤があったことを明らかにした。「目標をやめてしまう自分が許せるのか」とも言った。
 浅田選手は常に目標を掲げ、それを達成するために努力を重ねてきた。負けず嫌いだから目標を達成するまで譲らないし、折れない。内面の強さを持った真のアスリート、ファイターだったと思う。
 ソチ五輪ではショートプログラムで沈み、フリーで完璧な演技を見せた。やり遂げるという目標があったのだろう。当時、あの精神状態でなぜ力を出せるのかと感心し、自分も頑張らなければと思った一人。
 浅田選手の前を向く強さと明るさ。次の目標を描いているのだと思った。

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