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朝日新聞柏支局長のコラム

便利さ

 最近、ショックなことがあった。会社の裏にあるコンビニエンスストア「セブンイレブン」が1月31日に閉店した。コンビニの裏に会社があると言った方が正しいかもしれない。
 私は常連客だった。お昼だけでなく、夜も弁当をよく買った。オーナーに「お近くですか」と声をかけられ、若い店員も顔見知りになった。単身赴任の私にとって、とても便利なお店だった。
 閉店の日にオーナーから「ご近所さんでありがとうございました」と言われた。少し寂しい気持ちになった。今は空っぽの暗い店舗だけがある。
 コンビニ業界は今、岐路にある。店舗が乱立して競争が激化し、人手不足などの問題も抱えている。「近所のコンビニが閉店した」という話はめずらしいことではない。
 田舎に住んでいた子どものころ。町の中心部にできたセブンイレブンは、その名の通り、午前7時から午後11時までの営業だった。それだけでもすごいと思った。「あいててよかった」というCMも懐かしい。それがいつのまにか24時間営業が当然となり、便利が当たり前となった。
 今、24時間営業は不要という声がある。この便利さには様々な議論があり、今後、社会の流れの中でコンビニのあり方も変わっていくのだろう。
 「あいててよかった」。今は、忘れていたそのありがたみをかみ締めている。

朝日新聞柏支局長 上嶋紀雄

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