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朝日新聞柏支局長のコラム

SOS

 「先生、どうにかできませんか」。そう書かれた言葉を知った時、とても胸が痛くなった。
 野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(10)が死亡した事件。心愛さんは、学校のいじめアンケートに「お父さんにぼう力を受けています」と訴え、虐待が確認されて県柏児童相談所に一時保護された。
 だが、その後は、心愛さんがつづったSOSを大人たちがつぶしてしまった。市教育委員会は父親の要求に屈してアンケートのコピーを父親に渡す。今年1月、長期に欠席しても誰も疑わず、問題としなかった。そして事件。
 SOSを発したとき、心愛さんは、どれほどつらかったか、悲しかったか。そんなことを思うと、やりきれない気持ちになる。
 1月31日、野田市と市教委の記者会見。やりとりは3時間に及んだ。
 コピーを渡した後の対応も大きな問題だと感じた。コピーを渡した事実が市内部で共有されず、事実を知った柏児相も対応をとらなかった。長期欠席の問題も情報が共有されない。柏児相、学校、市教委、市。連携不足が招いた結果だ。
 私は記者会見でぶつけた。「どこも連絡し合わず、連携をとっていない。どこかが連絡して確認をとっていれば、心愛さんを救えたかもしれない」と。
 この事件をしっかりと掘り下げる必要がある。それが報道機関の役目だと思っている。

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