読者投稿オリジナル童話

やまざと

ペンネーム 文美江(柏市 派遣員 71歳)

 

 わかいころに、子どもをなくしたふうふがいました。のどかな山里の田んぼでお米を作り、畑でやさいやくだものを作り、それを町へ売りに行き生活していました。
 二人には困っている事があります。もう少しでおいしくなる、と思うころになると
「お父ちゃん、また、やられたぜー。かじりかけてすてとるのがあるよ」
「おー、またか。よいよいけんことするのー。とらちゃんとこは、どうやろのー。いっち、きいてみらいのー」
 お父ちゃんは近所のなかまの家へ聞いてまわりました。昼ごろ帰ってくると
「こんどのー、ひまんときに、公会堂にあつまっち、相談することになったい。次の雨の日にでもな」
「そがいになったんか。うちもいくかな」
「ええけん、ゆっくりしちょれや」
 次の雨の日、十五人の農家の人が集まり、相談して畑のまわりにあみをはることになりました。みんなでなるべく高く広くあみをはりました。
「まいばん、一けんずつ見まわりをすることになったけんの」「ほんならうちもいかいな」
 二人の当番の時、見まわっているとリスのチョロやサルのモン吉、うさぎのピョン子まで来ていました。
「おまえら、なんぼゆうてもわからんか。生活ができんようになるけん、山のものを食べちくれや。なんぼでもあろうがや」
 そうモン吉たちに話しかけて帰りました。しばらくはあらされるのが少なくなり安心しました。
 その冬は、どういうわけか寒い日が続き、雪はいつもの年は50センチくらいなのに、今年は毎日ふり続けて、つもった雪はお父ちゃんの頭くらいです。
「お母ちゃん、今年は食べるものをなやに入れといてよかったのー。雪がこがいつもるとは思わなんだもんの」
 毎日毎日、雪はとけたり、またつもったり、なかなか春になるのは遠そうです。そんなある日、「おや、チョロ、モン吉、ピョン子、どうしたん」
 雪かきをしたげんかんのそばで、チョロ、モン吉、ピョン子がやせて元気のない姿を見せました。
「お母ちゃん、山にも雪がつもり、みんな食べるものを見つけることができません、フラフラです」と言うとヘナヘナとたおれてしまいました。びっくりしたお父ちゃんたちは、なやから保存しているものを出して食べさせると、みんなにもみやげに持たせました。
 なんとかモン吉たちも冬をぶじにすごせた春のある日、田んぼから帰った二人の目にうつったのは、美しくさいた花や、おいしそうな木々のしんめがおいてありました。ピョン子がいどのかげからたしかめて、はねて行くのが見えました。
「お母ちゃん、子どもたちが会いにきてくれたようじゃなー」
「ほーんと」

 




童話作家緒島英二さんより

のどかな風景が目に浮かび、心が洗われるような気がします。季節の移ろいの中に、みんなの絆が感じられました。

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