読者投稿オリジナル童話

モモちゃんちのお雛様

ペンネーム きょうこ(流山市 主婦 51歳)

 

「今日は雛祭り。良いお天気だしモモちゃんもご機嫌だし、なんて素敵な日なんだろう」と、お雛様は嬉しくなって隣のお内裏様に話しかけようとした時、びっくりして目がとび出しそうになりました。なぜなら隣には見たことのない金髪の女の子が座っていたからです。お雛様は思わず、
「あなたは誰?」と聞いてしまいました。女の子はにっこり笑って「わたし、リカちゃん」と言いました。お雛様があまりにも驚いて声も出せずにいると、リカちゃんが「双子の妹もいるのよ」と言いました。下の段をのぞいてみると、三人官女のうち左右の二人がいなくなっていて、そのかわりに小さな金髪の女の子が二人、鮮やかなピンクと水色の服を着て座っています。するとリカちゃんがウフフッと笑って
「妹たちのドレスもかわいいけれど、センターの子の衣装も素敵ね」と言いました。お雛様は何がなんだかわからなくなって、オロオロするばかり。
するとその時、下の方でモモちゃんの声がしたので見てみるとこれまたびっくり。お内裏様と二人の官女が畳の縁の上を楽しそうに行進しているのです。
「さぁ、みんなでお買い物に行きましょう」というモモちゃんの声がします。それを聞いたとたん、お雛様は思わず笑ってしまいました。五人囃も何だか楽しそうで、一段と演奏に力が入っているようです。
「素敵な音楽ね」とリカちゃんが言ったので、お雛様は「あの五人の男の子たちは今日のために一生懸命、練習してきたのよ。上手でしょ」と言いました。リカちゃんが他の事も知りたがったので
「そこにある菱餅は、上からピンク・白・緑になっていて、桃の花・雪・新緑をイメージしているって聞いたことがあるわ」って教えてあげました。お返しにリカちゃんがクッキーやケーキの話をしてくれました。こうしておしゃべりしているうちに二人はすっかり仲良くなっていました。下の段の官女と双子の妹も、自分たちが着ている和服や洋服の話で盛り上がっているようです。
「お雛様は、着物を何枚も何枚も重ねて着ているのよ」という官女の声もします。
そこへ、モモちゃんと買い物に行っていたお内裏様と二人の官女が帰ってきました。そしてリカちゃんと双子の妹は、別れを惜しみながら、モモちゃんに連れられて帰っていきました。
お雛様は、「思ったとおり、今日はとても素敵な一日だったわ。そしていつか、今度はわたしがリカちゃんの住んでいるマンションという所に行ってみたいわ」と思いました。

 




童話作家緒島英二さんより

夢のあるファンタジックな世界が広がります。リカちゃんの登場には思わず笑ってしまいました。季節感の漂う作品です。

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