読者投稿オリジナル童話

おばけやしきにごしょうたい

ペンネーム かんだゆみ(印西市 パート 43歳)

 

きのうねえ。僕、おばけやしきに行ったんだよ。すごいでしょ。なんで行ったかって? おばけさんが来てくださいって言ったからだよ。おばけやしきにごしょうたいされたんだ。
どうしてそうなったかというと、パパとゆうえんちに行ったとき、きゅうけいした場所のちかくがおばけやしきだったの。ちがうよ。ごしょうたいされたのはそこじゃなくて。そこのおばけやしきはなんだか暗く、きたない色がぬってあってこわそうだった。こわそうって見てたら、こまるんだよなーというだれかのひとりごとが聞こえてきた。
ふりむくとむずかしい顔をしたおばけさんがぷりぷりおこってる。足はとうめいなの。僕はおばけやしきの外におばけっていていいの? はんそくじゃない? って思ったけどあんまりこわくはなかった。おばけさんは、ねえあなたどう思われます? と、こんどははっきりと僕に話しかけてきた。あんなやしきに住みたいと思います? って。僕が首をふると、私だっていやですよ。きみ悪い。おばけがあそこに住んでると思われたらめいわくですって言った。じゃ、どこに住んでいるんですか? って聞いたらあなた、私のやしきにきょうみがある。よかったらきます? ごしょうたいしますよとさそわれたんだ。なんだかわるいおばけじゃなさそうだし、行きたいかもって思ったらパパが行ってもいいって。それで行ってきたんだ。
おばけさんのやしきはきちんとそうじしてあってきれいだったの。ドアのまえでこんにちはしたらおばけさんが出てきてはいはい、いらっしゃいませってニコニコしながら入れてくれた。げんかんにはくつが一個もないんだよ。なんでって? おばけさんは足がとうめいだからにきまってんじゃん。それでね、いまの花びんにきれいな赤いバラがかざってあったの。お庭もあって、ぼんさいがおいてあったよ。イスに座るとおばけさんが紅茶とクッキーを出してくれた。すごーく、おいしいの。それを食べながらおもしろい話をいっぱいした。
おばけもかいてきにすごしたいからやしきにはこだわってるんだって。そうなんですかあって僕言ったんだよ。とくにトイレはいつもピカピカにしないと気がすまないんだって。トイレも、へやも、みんな見せてもらったんだ。楽しい時間はあっというま。5時のチャイムがなっちゃった。さようならして帰ってきたよ。あーおもしろかった。
え? 君、ゆうえんちにあるおばけやしきの方はこわくて入れないの? ふーん。おばけさんがあそこはひとをおどかすためのもので、本当のおばけのやしきとはちがいますって言ってたよ。僕がごしょうたいされたおばけやしきはぜんぜんこわくなかったよ。じゃあさ、今度またごしょうたいされたら君もいっしょにいく?

 




童話作家緒島英二さんより

ユーモラスな語り口で、思わず笑みがこぼれます。誰もが、「ごしょうたい」されたくなることでしょう。

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