読者投稿オリジナル童話

ハンバーグ VSロールキャベツ

ペンネーム 池田 ふみえ(柏市・アルバイト・69歳)

 

 台所でお母さんがキャベツをゆでているところへ、お兄ちゃんのたけしと弟のまさるが外から帰ってきました。毛糸の帽子には枯れ葉をくっつけて、ズボンはほこりだらけです。
「お母さん、今夜はな~に?」
兄につづいてまさるも、
「お母さん、今夜はな~に?」
お母さんは一枚ずつはがしたキャベツをゆでながら、二人を見ると言いました。
「な~んでしょうか? それにしても、すごいおみやげがついていますね。外ではらっておいで!」
二人はほこりをはらうと、すぐにお母さんの両わきにならぶと、ワクワクしながら何が出来るか楽しみにしています。テーブルの上のボウルのなかに、ひきにくのこねたものを見つけると、たけしは、
「ワーイ、ロールキャベツだ!!」
まさるは、「ちがうよハンバーグだよ」
そこへ、お父さんも帰ってきて加わりました。
「お父さんはコロッケかなあ」
この家は中身が三品とも、こねる具が同じなのです。小さい頃からなんでも食べるように、色々な栄養がとれるようにと、ピーマン、ニンジン、シラス、きのこなどのみじん切りをひき肉にまぜこんでいるのです。お肉のジューシーさ、その上に野菜のうま味がプラスされます。子供達はこれが当たり前と思っているのです。
「あ、キャベツをゆでているところを見るとロールキャベツだね」と、お父さんが言うと、たけしは得意顔で
「な! あたっただろう」
「いやだ、お母さんハンバーグだよね」
こまったお母さんは
「じゃあキャベツをたくさんゆでたので、今日はロールキャベツね。まさるの分はハンバーグにしてあげようね」
しばらしくしてテーブルに着くと、まさるにハンバーグ、たけしにはロールキャベツがそれぞれ出されました。二人は満足そうにほうばります。しばらくすると、まさるはたけしの皿を見て、「お兄ちゃん、あったかそうでおいしそうだね」「まさるのも、おいしそうだな」
二人はなんとなく相手の皿の中が気になります。たがいに『ロールキャベツにした方がよかったかな~』『ハンバーグがよかったかな』と思いながら食べています。まさるが、「お兄ちゃん一口ちょうだい」というと、たけしは、「おまえハンバーグがいいって言っただろう」といってから、まさるがさみしそうな顔をしているのを見ると、「じゃ半分ずつしようか」
「うんお兄ちゃん、やっぱりみんな同じものがいいね、おいしいね、お母さん」
まだおなべの中には、あつあつのロールキャベツが出番を待っています。

 




緒島英二より

 今回の講評はお休みです

 

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