読者投稿オリジナル童話

じゅんばん待ち

じんしょう(流山市 自由業・41歳)

 

 雪だというのに、おてんばなノウサギがはねていました。ちょっとすすんで、あたりをきょろきょろと見わたすと、またすこしいって、うしろをふり返ったりしていました。
 そうやって、すきにしていたかと思うと、「あら!」とさけんで、いちもくさんにかけていきました。見ると、道のわきのところに、小さな雪だるまがいるではありませんか。
 「こんにちは!」ノウサギは、げんきよくあいさつしました。
 「雪だるまさん、いいところを見つけたわねえ。ここなら、ちょうど木が立っているし、風がふいても、あまりさむくないものねえ」
 雪だるまのうしろには、うまいぐあいに、何本かの木がならんでいました。ひろい野原の、ながい道のそこだけ、そうして立っているのです。それはまるで、だれかがつくった、すてきなきゅうけいじょみたいでした。
 するとノウサギは、だんだん、うらやましくなってきました。雪だるまのいるばしょに、ノウサギも、すわってみたくなってきたのです。そこでノウサギはいいました。
 「……ねえ、ちょっと、かわってくれない?」
 雪だるまは、だまっています。ノウサギは、もういちどたずねました。
 「雪だるまさん、いいでしょう?わたしも、そんなすてきなところで、ちょっときゅうけいしてみたいの。――ねえ?」
 けれども、雪だるまは、やっぱりだまったままです。
 たぶん、雪だるまだって、せっかくいいところを見つけたのですから、そうかんたんに、そのすてきなばしょから、うごきたくはないのでしょう。
 ノウサギは、いいました。
 「もう、わかったわよ。それじゃあ、つぎはわたしのばん、やくそくね!」
 それから、ノウサギは、冬のあいだじゅう、雪だるまのところへ通いました。きょうもいって、まだどいてくれません。あしたいっても、やっぱり、まだいました。
 そのうち、だんだん、あたたかくなってきました。
 春です。雪がとけて、野原のあちこちに、雪しろがひろがっていきました。道にも、黒い土のところが見えてきました。そして、あの雪だるまも、雪がとけて、なかからおじぞうさまがあらわれたのです。
 やがて、いつものように、ノウサギがはねてきました。
 おじぞうさまを見て、びっくりして、きょろきょろしています。
 ですが、しばらくするとやってきて、何本かの木のならんだ、すてきなきゅうけいじょのまえで、でんとすわっているおじぞうさまにむかって、ノウサギはいいました。
 「だめよ、どいてちょうだい――雪だるまさんのつぎは、わたしのばんなんだからね!」

 




童話作家緒島英二さんより

 叙情あふれる文章の中に、ユーモアが光って楽しい作品ができあがりました。ノウサギシリーズを期待します。

 

Copyright(C) 2012 RESUKA Inc. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.

朝日れすかのホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

ページトップへ