読者投稿オリジナル童話

ランドセル

ペンネーム 大友 いっこ(守谷市 相談員 60代)

 

  くみちゃんは、春がきたら小学生です。くみちゃんがえらんだランドセルは、水色です。ママは、
「六年生までつかうんだから、ふつうの赤がいいんじゃない?」
と言ったのですが、おみせで見た水色のきれいなランドセル! ピンクのふちどりがあって、とってもかわいいのです。そして、ハートのかざり! これがいちばんのお気にいりポイントなのです。
「どうしてそんなこと言うかな? こんなにたくさんの色の中で、これってきめるのすごくない?」
五年生のおねえちゃんが、ママに言ってくれたから、くみちゃんはむねをはって、
「そうだよ、これがいいの」
と言いました。
「へえ、いつもはケンカばかりなのに、きょうはなかがいいのね」
ママは、赤いランドセルをたくさんのランドセルの中にもどしながら、
「まあ、くみちゃんがいいなら、これにしようか」
ということで、水色のランドセルはお正月にわが家にやってきたのです。くみちゃんは、さっそくはこをあけて、ピカピカのランドセルに
「これからよろしくね」
と、ぎゅーっとしました。そして、いっしょにかってもらった、えんぴつやけしごむ、ふでばこ、下じきをぜーんぶ出しました。
「ねえねえ、えんぴつって、なん本もってくの?」
おねえちゃんは、ふゆやすみのしゅくだいをやりながら、つくえにむかったまま
「五本ぐらいでいいんじゃない」
と言いました。
「そうなんだ」
くみちゃんは、あたらしいえんぴつを五本だしました。一本一本えんぴつけずりでぐるぐるぐるぐるけずっていると、はじめは力がいりましたが、とちゅうでスッとかるくなりました。とんがったえんぴつたちは、みんなおんなじ長さでせのびしているみたいです。おねえちゃんのふでばこには、長いえんぴつとみじかいえんぴつがせのじゅんにならんでいました。
「くみちゃんのふでばこもこんなふうになるのかな?」
「ふふふ、これからのべんきょうしだいだね」
と、おねえちゃんは、くみちゃんをおいはらうように手をひらひらさせて、
「しゅくだい、しゅくだい!」
とつくえにむかいました。くみちゃんもあたらしいつくえにむかって、あたらしいノートに「くみこ」と、なんかいもれんしゅうしました。

 




童話作家緒島英二さんより

 ほのぼのとした日常を描きながら、新たな生活への出発の雰囲気が漂います。ランドセルいっぱいに思い出がつまるのでしょう。

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