ふなちゃんの音楽ジャングル

過去の話題一覧

風街に連れてって!

松本 隆/『風街に連れてって!』

 松本 隆。1970年にかの「はっぴいえんど」のドラマーとしてデビューして以来、400組近くのアーティストに2100曲以上の歌詞を提供し、日本の音楽史に数々の金字塔を打ち立ててきました。今月は、そんな彼の作詞活動50周年トリビュートアルバムをご紹介します。
 私は基本的にアレンジャーなのですが、若い頃、「曲の中でアレンジの役割なんてほんの少し。多くは歌詞で決まるんよね」なんて言われたことを思い出します。その時は、へんっ、なんて意気がったかもしれません。でもね、やっぱ歌詞は大切なんですよ。素敵な「ことば」の説得力ってすごいですもん。
 『風街に連れてって!』というタイトルにもくすぐられます。彼曰く、「夏色のおもいで」の冒頭の歌詞「きみをさらってゆく風になりたい」というフレーズは、「風街に連れてって!」と願う女の子の気持ちに対してのアンサーになっているんだとのこと。では「風街」とはどこなんでしょう。それは、彼が青春時代を過ごした青山・渋谷・麻布界隈の原風景のことを指すそうです。私のような田舎もんには眩しいわけです。「時の河を渡る船にはオールはない」んです。だから「流されてく」んです。そして、横たわった髪や胸に、星のかけらが降り積もるんです(「Woman“Wの悲劇"より」)……なんという世界観でありましょう。
 「夏色のおもいで」をカバーした吉岡聖恵は、お母さんが大好きだった曲でしたと語っています。そうです、世代を超えた音楽ファンがとっても楽しめるすんごいアルバムなんです!! https://columbia.jp/matsumototakashi/


船守秀一(音楽プロデューサー・http://www2.odn.ne.jp/obbligato/)

Copyright(C) 2012 RESUKA Inc. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.

朝日れすかPLUSのホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

ページトップへ