柏の街がアートで盛り上がる「アートラインかしわ」が、今年は「まわる、めぐる、かえる」をテーマに、10月7日から始まった。今回のメインは、使われなくなったおもちゃで創作活動を続ける美術家、藤浩志さんの作品やイベント。10日には、藤さんらアーティストの解説がついたツアーも開催される。(記事後半に藤さんのインタビューも)
藤さんは、使われなくなったおもちゃを交換し合うイベント「かえっこバザール」を各地で展開。バザールでも引き取り手のないおもちゃを分解し、色ごとに仕分けをし、様々な作品を作っている。
今回は「11匹のケモノたちとの実践―11 beasts practice」と題し、トイザウルス(恐竜)やメガロケロス(鹿)、アンガードッグ(犬)など11匹の「ケモノ」を、柏駅の周辺に展示した。作品は遠くから見ると、ケモノの形をしているが、近づいて見ると、大量生産されたプラスチックのおもちゃやぬいぐるみたちの「顔」が見えてくる。

ケモノたちの住みかは、柏髙島屋本館3階「ふらりザ・ルーム」(10月20日まで)のほか、パレット柏や柏モディ2階テラスなどで、街の中を歩くと思わぬ出会いを楽しむことができる。
また「かえっこバザール」が10月11日には柏高島屋本館3階で、25日には柏モディとパレット柏で開催される。事前申し込みは不要。
このほかのアートイベントとしては、柏駅東口のハウディモールを会場に、30人が30号キャンパスに描く恒例の「ライブペイント 30vs30」が11月1日に、舞踏カンパニー「大駱駝艦」のパフォーマンスが11月8日に予定されている。また市内各所で関連イベントも開かれる。
アートラインの会期は11月8日まで。イベント詳細や参加申し込みはHPで。
「ここから次の物語が」藤浩志さん
藤浩志さんに、今回の作品について聞いた。

――これらの作品は、どのように生まれたのか?
もともとは家族のプロジェクトだった。30年前から、家庭で出るビニール類を素材に、こんなものを作れますよ、とデモンストレーション的に見せていく活動をしていた。そこで自分たちの作品を見た人が、イメージを広げ、アイデアを広げ、自分たちも作ってみようか、となればいいな、と。
20年前からは、子どもたちがいらなくなったおもちゃを交換する、フリーマーケットのような「かえっこバザール」を始めた。こういう「仕組みにする」という表現の方法もあるのかなと思って取り組んできた。それが今でも、各地で続いている。すると、壊れたり、汚れたりして、引き取り手のないおもちゃ、特におまけのプラスチックのおもちゃが、我が家にどんどんたまっていった。「面白い。今の時代を象徴している」と思い、これを楽しみに変えようと、いろんなケモノを作ってきた。
――柏での展示の面白さは?
11体のケモノを駅周辺で探してもらうこと。このケモノたちについて、僕らが意味を作るのではなく、見つけた人が「この子はどこから来て、これからどうなるんだろう」と物語を考えてもらえれば。今回は初めて、その物語をカードに書いてもらったり、SNSで発信してもらったりして募集するので、ここから次の物語が生まれればいいな。
――柏のアートラインの感想は?
実は2006年の第1回の時に見に来ている。当時、取手のアートのプロジェクトにかかわっていたので。柏で今も続いているとは知らなかった。だから、今回参加することで、アートラインの仕組みも聞いてみたかった。
街中でこういうイベントをすることが難しいのは、よく知っている。中心になって動いている人たちがいて、力になってくれる人たちもいる、というのはありがたい。商店街や大型施設などと、いろいろなつながりも作ってきている。これらの経験の蓄積が、次の若い世代が何かをやりたいと思う時に、発想の広がりにつながる。とても大事な活動だと思う。

