空想科学イラストやプラモデルの箱絵(ボックスアート)などで有名なイラストレーター小松崎茂(1915~2001)の作品が、9月22日に米・ロサンゼルスにオープンする「ルーカス美術館」に展示される。このうち2点は、親族も知らなかった作品だ。柏市の自宅で制作活動を続けた小松崎の作品が、ついに世界へと飛び出した。

ルーカス美術館は、映画監督のジョージ・ルーカス氏と妻で実業家のメロディー・ホブソン氏が設立。「ナラティブ・アート(物語を視覚的に表現した芸術)」をコンセプトに、約9000平方㍍の展示空間で約30のテーマごとにコレクションを展示する。
その一角。「MANGA」をテーマにしたスペースに小松崎の原画作品4点が展示される。関係者向けのプレビューに招かれた、小松崎の孫で著作権を継承する小松﨑憲子さん(46)と夫の稔さん(47)によると、2点はSFロボットのグレンダイザーとグレートマジンガーのイラスト。残る2点は、ロケットのような形をした3輪のレーシングカーと、ロケットが飛ぶ宇宙港の絵だった。
レーシングカーと宇宙港の作品は、2人がこれまでに見たことのないもので、タイトルもなかった。作品にはサインとともに「1965」の数字があり、2人は「1965年に描いた作品で、雑誌用の絵か、何かの箱絵だったのかも」という。
憲子さんのもとにルーカス美術館の関係者から連絡が来たのは、今年3月。「小松崎作品の展示を予定している。コレクションはあるが、ほかにも作品はないか」というものだった。第一印象は「国際詐欺では?」。美術館側に問い合わせると、本物のオファーであることが分かった。「スターウォーズのルーカス監督が祖父の作品をコレクションしていたのかと、すごくびっくりし、うれしかった」
そしてプレビューで美術館を訪れると、そこには確かに小松崎の作品が。「祖父は、夢や希望を持てなかった戦後の子どもたちに、未来への希望や夢の世界を描いていた。そんな作品が、世界の人々の想像力を刺激してくれたら」と願った。
稔さんも「茂の作品は、1枚の絵から一つの映画ができるくらい、想像力がかきたてられるものが多い。ナラティブ・アートという美術館のコンセプトにマッチした作品だ」と話している。
「異能の画家」とも呼ばれる小松崎は、挿絵画家としてデビュー。戦後、子ども向け絵物語の作家としてSF物語「地球SOS」、西部劇「大平原児」などを手掛けた。さらにプラモデル「サンダーバード」シリーズのボックスアート、未来都市や戦艦大和などを精密かつ迫力のあるタッチで描いたイラストなどで人気を集めた。小松崎の作品は、WEBの小松崎茂ONLINE美術館で見ることができる。

