(キーボード)サブロー監督に聞きたい② いま恩師に思うこと

 2002年のオールスター戦。何もできずにサブローの初出場は終わった。早朝の松山空港でうなだれる姿を僕はサブローの師匠に伝えた。「いい経験になったはずや。化けるで、アイツは」。電話口でそう笑っていた。
 高畠導宏氏。南海で左の代打として活躍し、引退後は野村克也氏に才能を認められ7球団を渡り歩いた伝説の打撃コーチだ。三冠王3度の落合博満氏、ロッテ監督も務めた西村徳文氏、元大リーグの田口壮氏らが教え子だ。死後に制作されたNHKドラマをご記憶の方もいるのではないか。
 この年、オリックスからロッテに移籍した高畠さん。サブローに会うなりこう言った。「お前がサブローか。相手ベンチから見ていて、迫力あったで。ワシとバッティングをやらんか?」。やる気にさせ、しごく。「すぐ飽きる」「未完に終わる」と言われていたサブローの才能を開かせた。
 だが2年後の夏、がんで死去。北枕に眠る高畠さんはヒゲが伸びていた。剃る気力すらなかったのだが、見舞いに来たサブローには「ロッテが勝率5割に戻すまで伸ばすんや」と笑っていた。
 サブローはいまロッテを率い、死闘を続けている。高畠さんに会えるならどんな報告をするだろう。どんな助言が欲しいだろう。こんど、サブロー監督に尋ねてみたい。

朝日新聞柏支局長 抜井規泰

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