(キネマの世界)急に具合が悪くなる

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 今回ご紹介する映画は、『急に具合が悪くなる』。主演のヴィルジニー・エフィラと岡本多緒は今年のカンヌ国際映画祭の最優秀女優賞を受賞した。世界三大映画祭全ての主要賞を獲得してきた濱口竜介監督による最新作は、人類学者と、がんと闘う哲学者が交わした往復書簡からなる同名書籍の映画化だ。

 映画では、パリを舞台に介護士のフランス人と舞台演出家でがん闘病中の日本人を主人公とし、原作に流れる「魂」を引き継ぎつつ、まったく新たな物語を紡いでいる。介護施設長のマリー=ルーは入居者を人間らしくケアすることを理想としつつ、人手不足やスタッフの無理解などに悩まされている。ある日、演出家の森崎真理と出会い、真理が進行がんで「急に具合が悪くなるかもしれない」と打ち明けたことから二人の交流が始まる。同じ名前の響きを持つ二人の出会いは、真理の病の進行とともに関係を深め、互いの魂を通わせるようになる……。不可能なことはいかにして可能なのか。そんな途方もない問いを前に、なおこの映画の先には希望があることを感じさせてくれる。二人の主人公の間に引かれたラインは、スクリーンを超えて私たちにもつながっている。(橋岡直人)

濱口竜介監督・196分
フランス・日本・ドイツ・ベルギー合作
キネマ旬報シアター柏で上映中

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