我孫子の榎本氏庭園、国の登録記念物へ 利根川の洪水の歴史伝える水塚の上に

 国の文化審議会は6月19日、我孫子市布佐にある「榎本氏庭園」を登録記念物(名勝地関係)にするよう文部科学大臣に答申した。正式に登録されれば、市内では初、千葉県内では4件目になる。

正門へと続く前庭は、道路(写真左側)から盛り土によって坂になっている=もば建築文化研究所撮影

 「榎本氏庭園」の対象は、布佐の旧家・榎本家の広さ5042平方㍍の庭や建物敷地。庭は前庭や表庭、内庭、裏庭、外庭からなり、敷地境界付近にはイチョウやケヤキの大木もある。

 榎本家は、江戸時代に利根川の水運業に携わり、明治から大正にかけては、当時の布佐町長や衆議院議員も輩出してきた。布佐地区はかつて、利根川の水害にあってきたため、利根川沿いにある榎本家の建物や庭は、洪水対策としての盛り土「水塚」の上に作られているのが特徴という。

 現在の建物は、明治から昭和にかけ、周囲より1㍍ほど高くした水塚の上に建てられたものを、1958(昭和33)年の利根川堤防拡張事業に伴い、さらに約50㌢盛り土をした水塚の上へ曳家してきた。ほとんどの庭も以前の面影を残し、水塚の上に整備し直されたという。水塚の範囲は、今回の登録対象となった敷地の約3分の2にもなるという。

 敷地内の主屋や正門、土蔵などの建物は、「榎本家住宅」として2024年に国の登録有形文化財(建造物)に指定されている。

 市教委は「もともとあった水塚の上に、さらに盛り土をして作られており、布佐の洪水の歴史を伝える貴重な庭園」と、その特徴を説明する。

 建物や庭園は、現在も所有者が暮らしているため、非公開となっている。

 千葉県内にある国の登録記念物は、野田市の「野田市市民会館(旧茂木佐平治氏庭園)」、柏市の「旧吉田氏庭園」「染谷氏庭園」の3件。

表庭=同研究所撮影
内庭=同研究所撮影
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