
「全てのことはよくなるために起こる」
ミャンマーに古くから伝わる言葉だ。この言葉を座右の銘にするイエトゥッゾウさん(25)は、新型コロナ、軍事クーデターと何度もくじけそうになりながらも前を向き、いま、柏市内で働きながら日本語を学ぶ。2月の日本語スピーチコンテストでは、市長賞とオーディエンス賞をダブル受賞するほどに上達し、次の夢へと努力を重ねている。
ゾウさんは、ミャンマーの首都ヤンゴンに近いコメ農家の出身。橋や建物を造る設計士になることが夢だった。しかし大学では別の道へ。2年生の時、新型コロナの感染拡大で大学生活は中断。再開されると、今度は軍事クーデター。何をしたらいいか分からなくなった。大学を辞めた。 周りの友人の多くは海外へと飛び出した。「日本は良い国」と、小さいころから母親が話をしていた。日本への留学を決めた。
しかし、日本語は複雑だった。ミャンマーの文字の数は33。何度も立ち止まりそうになった。そのたびに「全てのことはよくなるために起こる」と、自分を奮い立たせた。
2025年4月。ついに留学生として来日した。普段は、日本語学校に通いながら、新聞販売店で朝夕の配達のアルバイトをしている。空いた時間で、授業の復習をし、弁当を作り、友だちと食事を楽しむ。
「初めはコミュニケーションで困ったこともあったけど、職場では仕事を優しく教えてくれる。日本は平和で安全。素晴らしい国」
日本語学校で「好きな言葉」をテーマに作文を書いた。担当の先生が、スピーチコンテストへの出場を勧めてくれた。2月15日にパレット柏であったコンテストでは、自分の思いを日本語で流暢に伝え、ダブル受賞に輝いた。
「日本語の発音は難しく、先生と一生懸命練習した。コンテストでは、自分の頑張りが形になり、私の思いを受け入れてもらえたことがうれしかった」と喜ぶ。
今年度、大学受験に挑戦する。ミャンマーで一度は諦めた設計士になるためだ。日本で力をつけ、いずれ祖国で橋や建物を造ってみたい。「日本とミャンマーを繋ぐ設計士になりたい」。目を輝かせた。
日本語スピーチコンテスト出場者16人の発表内容は、柏市国際交流協会のサイトで。来年は 2月21日開催。

