
NECは8月20日、ラグビー・リーグワン2部のNECグリーンロケッツ東葛(GR東葛)の譲渡に向けた検討を始めた、と発表した。25-26年のシーズン終了後の譲渡を目指し、譲渡先が見つからない場合はリーグを退会する方向。同社は「チームをさらに発展させていくことは困難」と説明。リーグによると、リーグへの譲渡申請は今年12月が期限という。
GR東葛は、1985年に創部、ラグビー日本選手権優勝3回、マイクロソフトカップ優勝1回の実績がある。23-24年シーズンから2部で戦い、昨季は2部3位と1部との入れ替え戦出場に届かなかった。練習拠点は我孫子市のNEC我孫子事業所ラグビーグラウンドで、東葛8市をホストエリアにしている。ホストスタジアムは柏の葉公園総合競技場で、昨季は7試合を開催した。最寄りのつくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅には、GR東葛のポスターやロゴが掲げられている。
NECはこの日の発表でGR東葛について「従業員の一体感醸成や士気高揚を目的に運営してきたが、近年ラグビーを取り巻く環境が大きく変化してきた」と説明。「チームの位置づけを検討した結果、NECが中長期にわたり持続可能な形でチームをさらに発展させていくことは困難」と判断したという。
太田治GMはSNSでコメントを発表。「25-26シーズン終了後のクラブ譲渡にチャレンジすることになった。クラブとしても関係者と連携して譲渡に向け全力でチャレンジしていく」とした。さらに「12月開幕の25-26シーズンは目標である、D2(2部)優勝、D1(1部)昇格に向けてチーム一丸で戦っていく。変わらぬ温かいご声援、ご支援をよろしくお願い申し上げる」と述べている。
この発表を受け、リーグワンの東海林一専務理事が記者会見。東海林専務は「リーグとして大変残念」と話したうえで、NEC本社から1年前にチームの在り方について相談があり、コスト削減や譲渡、退会の可能性について検討してきたことを明らかにした。譲渡の条件としては、現在の基本戦力の7~8割を維持することといい、譲渡、退会ともに、リーグへの申請期限は今年12月とした。
GR東葛は今季、2012年から2年間、ヘッドコーチを務めたグレッグ・クーパー氏を再びヘッドコーチに迎え、1部昇格に向けた態勢を整えてきた。また、8月9日には我孫子ラグビーグラウンドで、ファン1000人超が参加する「ロケッツフェスティバル2025 in SUMMER」を開くなど、ファンとの交流にも力を入れてきた。
それだけに、突然の発表にファンや関係者に波紋が広がっている。練習拠点のある我孫子市の星野順一郎市長にも、20日夕現在、チームからの直接の連絡はない状態という。星野市長は、柏の葉でのホームゲームに多くの市民が応援に駆けつけ、市を挙げて応援してきた経緯を踏まえ、「突然の発表に非常に驚いている。誠に残念であり、市民にとっても大きな衝撃。今後の動向を慎重に注視する」とのコメントを発表した。



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