2023年6月の話題
柏市柏市国際交流協会 創立30周年
「共生社会」実現へ
柏の葉公園のバラ園を見学するツアー参加者とスタッフ
柏市の国際交流活動の中核を担っているNPO法人「柏市国際交流協会(KIRA)」が昨年、創立30周年を迎えた。海外の姉妹友好都市や同市在住の外国人との交流、ウクライナ避難民への支援など幅広い分野で活動しているボランティア組織だ。KIRAの「あゆみ」と「未来」を、小菅あけみ会長に聞いた。
同市の国際交流は、米国西部トーランス市と姉妹都市になった1973年にはじまる。その後、友好都市になった中国・承徳市、グアムの海外3都市との国際交流団体を統合し、92年にKIRA(キラ)が設立された。2012年にNPO法人の認証を受け、16年には柏市国際交流センターの指定管理者となった。
オーストラリア東部の町キャムデンを加えた4姉妹友好都市との交流では、青少年交換派遣プログラムなどを推進してきた。「多様性を知り、共に生きていく世界が平和につながると肌で感じることができる。学生は若いときにそれを実感することで、一生の方向づけになります」。小菅さんは成果を強調する。コロナ禍で活動が制限されたときも、オンラインで交流を続けてきた。
KIRAの活動は多岐にわたる。同市に住む外国人のために日本語教室や、日本文化を紹介する各種イベントを開催。市民向けの語学講座も好評だという。ロシアによる軍事侵攻でウクライナから同市に逃れてきた人たちに対しては、日本語指導や生活支援の募金などを続けている。
創立30周年の昨年からことしにかけて、記念式典や記念誌の刊行などで節目を祝った。東京パラリンピック車いすテニス男子シングルスで優勝し、引退した同市出身の国枝慎吾さんの講演会なども開いた。「国枝さんは、強い信念をもった方。何度挫折しても、挑戦し続けることがすごい。勇気づけられました」
未来へ向けては「若い世代や外国人のリーダーの育成」を課題にあげ、組織改編も検討中という。「いろいろな国の人と意見を交換しながら、よりよい世界をつくっていきたい」
小菅さんが国際交流活動に携わって半世紀以上。ホストファミリーになったのがきっかけだった。KIRA設立後は事務局長、副会長を歴任。4年前、会長に就任した。「私はこの仕事をするために生まれてきたのかな」と感じている。
ウォーキングツアーで交流
外国人留学生らとの交流を目的とした「春の交流ウォーキングツアー」が5月14日にあった。KIRA交流委員会柏の葉分科会が5年前から実施している。
午前10時、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅に集合。外国人が2人参加した。ドガンカン・カラバスさん(32)はトルコ生まれ。東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構の特任研究員として昨年9月に来日し、数学を研究している。友人のチェリーさん(29)はフィリピン生まれ。昨年10月に来日し、日本語を学びながら英会話スクールで教えているという。
最初に訪れた柏の葉公園はバラが見ごろだった。86種類、約1000株あるという。雨が降り出し、園内の茶室で抹茶をいただきながら雨宿りした。
次に向かったのは、こんぶくろ池自然植物公園。都市近郊に残された自然の森で、東京ドーム約4個分の広さがある。園内のこんぶくろ池と弁天池は手賀沼の源流のひとつだ。おにぎりで腹ごしらえしたあと、ガイドの案内でうっそうとした森のなかを散策した。
ドガンカンさんは昨年11月のツアーに参加し、諏訪神社を訪れた。来年2月にもツアーが計画されていることを知り、「ぜひ参加したい」。チェリーさんも自然美を満喫したようだ。
SDGs わが街の一歩 持続可能な開発目標29
リユースマッチング事業
柏・制服バンクスタート
柏市は6月1日、市内の児童生徒の就学援助制度の補完や福祉向上を図ることを目的とした「柏市制服バンク」をスタートした。市内のクリーニング事業者と連携しており、自治体では初の試み。
卒業などで不要になった制服を提供したい人と、必要としている令和6年度の新中学1年生を市のホームページを通じてマッチングする。学校名や、サイズなどの希望が合致すると、提供者は市内の連携するクリーニング店に制服を持ち込む。クリーニングは連携した事業者が費用を負担。希望者はクリーニング店で制服を受け取り、提供者には市から千円の図書カードが贈られる。柏市では就学援助を受けている小学6年生に優先的に通知案内をする予定。詳細は「柏市制服バンク」で検索。または、柏市学校教育課☎04(7190)5779。
募集7/20(木)れすか天声人語勉強会
読者と楽しむ朗読の時間
文字情報を声に出して読むことで脳を活性化できると好評の天声人語朗読会。コロナ禍対策として朗読の時間を短縮し、天声人語の内容について深め、折々のことばも追加して学ぶ月1回の天声人語勉強会。
講師は、朗読グループ「美宙」主宰の三浦喜代子さん。少人数で開講中です。
朝日新聞をご購読の方を対象に7月の参加者を募集します。
日時/7月20日㈭ 10時~11時
場所/朝日れすか編集室内会議室(柏市旭町1―4―19・柏駅西口徒歩3分)
定員/8人
受講料/1000円
申し込みは、朝日れすか編集室(04・7143・4021)へ、平日10時~17時。定員になり次第、締め切り。
国枝慎吾さん 柏のPR大使に!
柏の魅力探り発信へ
元車いすテニス選手で国民栄誉賞にも輝いた国枝慎吾さんが5月25日、地元の柏市をPRする「柏つなぐ大使」に就任した。
市役所で行われた就任セレモニーで、太田和美市長から任命書と大使としての名刺を渡され「これまでは行動範囲が狭かったので、SNSを通して情報を収集し、発信していきたい」と抱負を語った。太田市長は「経験を生かして柏の人や物をつなぎ、世界につないでいってもらい、若い人や子どもたちにもつないでいってほしい」と依頼した。
柏レイソルの試合を観戦したこともあるという国枝さんは「柏市はサッカーやバスケットボール、ラグビーなどのスポーツも盛ん。他のスポーツとのコラボレーションなどもしてみたい」とスポーツを通しての活動にも意欲を示した。
2歳のころに柏市に引っ越してきて小、中、高校、大学、社会人と柏で過ごしてきた。手賀沼沿いのサイクリングコースをトレーニング場所としても利用し、「道の駅しょうなんのブルーベリーソフトを食べた。柏愛はすごく強い」と笑顔で意気込みを披露した。
英国女王が伝授する70歳からの品格
英国王室ジャーナリスト 多賀幹子著
英国王室ジャーナリストとして、執筆、講演、テレビ出演などで活躍する多賀幹子さんが、昨年9月8日に逝去したエリザベス女王の残した名言の数々を一冊の本にまとめた「英国女王が伝授する70歳からの品格」が今春、KADOKAWAからA6判1冊1870円(税込)で出版された。
国民の目にできるだけ触れるようにと工夫された色鮮やかな女王のファッションやチャーミングな表情。在位70年という英王室最長記録を打ち立てた女王の、70点の写真から見える人生哲学と装いの秘密に触れながら、エリザベス女王は人生の壁にどう向き合ったのかを探る貴重なメモリアルブックの決定版だ。
久しぶりに会った客人に「お元気でしたか」と尋ねられた時のお返事に、 I am Still Alive――に感じるユーモアの解説からも多賀さんの女王愛が受け取れる。
貴重なクィーンズイングリッシュや日本語訳、ちょっぴりの内輪話から読み取れる内容も興味深い。
7月14日(金) 著者を囲んで文化サロン
お茶をご一緒に 参加者12人募集
朝日れすか文化サロンでは、多賀幹子さんを囲んで、とっておきのゆったりアフタヌーンを開催。英国王室のこと、何でも聞いちゃおう。新刊本とホテルオークラ特製デザート付きです。
日時/7月14日㈮ 午後2時~4時
場所/ホテルオークラレストランタバーン柏(柏高島屋ステモ新館11階)
参加費/5000円(新刊本・特製デザートセット付)
定員/電話先着12人
▼お申し込みは、朝日れすか(04・7143・4021 平日10時~17時)へ。
◆多賀幹子さん
元お茶の水女子大学講師。「孤独は社会問題」「ソニーな女たち」など著書多数。