朝日新聞柏支局長のコラム
連続強盗
柏市内の自宅で原稿を書いていた10月18日夕、ピン、ポン、パン、ポンと防災行政無線から放送開始を告げるチャイムが聞こえた。行方不明高齢者の情報提供呼びかけかな。そう思って耳を澄ませると「不審な業者の訪問を受けたとの相談が相次いでいます」。えっ。
聞いたことのない内容だ。すぐに市の担当者に電話をかけた。放送の趣旨や背景を聞くと、隣の白井市で起こった強盗事件と同じ手口の犯行に注意してもらいたいとのこと。住宅リフォームをうたう不審者が出没しているらしい。
担当者は「進行中の事件に警戒を呼びかける放送は初めて」と続けた。事件が市内でも起こることを警戒しているのだ。これはニュースと思い、翌日の記事にした。
私は北海道警を振り出しに、各地で警察担当をした。出会った何人かの刑事は「検挙に勝る防犯なし」と同じフレーズを口にした。摘発を重ねることには犯罪の抑止効果がある、と確信を込めて話す刑事たちの姿を、強盗事件が相次いでいるいま、改めて思い出す。
強盗容疑で若者が続々と逮捕される。指示役は捕まらない。事件は続く。家にいても警戒が必要だ。えも言われぬ不安感が世の中を覆ったまま、年末を迎えるのだろうか。
朝日新聞柏支局長 斎藤茂洋