2021年5月の話題
流山市国内最大級の木造校舎
流山「おおぐろの森小」開校
木造のアーチ型天井が特徴的な体育館で開かれた「新設を祝う会」=流山市
校歌は一青窈さん作詞 木村弓さん作曲
流山市立おおぐろの森小学校が開校した。つくばエクスプレス(TX)流山おおたかの森駅周辺の人口増加に伴い、西初石小、小山小、おおたかの森小の通学区域を再編。3校からの転学と新1年生の計349人、16学級でスタートした。歌手の一青窈さんら著名な音楽家がつくった校歌が話題になっている。
市内17校目の公立小学校となる同校は、森や畑が残る大畔地区の高台に建設された。約2万1千平方㍍の敷地に木造(一部鉄筋コンクリート・鉄骨造り)地上3階、地下1階の校舎3棟と体育館、屋根つきプール棟が並ぶ。延べ床面積は約1万2千平方㍍。国内最大規模の木造校舎という。
校舎や体育館は木造ならではの空間にこだわり、千葉県産スギや姉妹都市の長野県信濃町産カラマツなどの構造材が見えるようにした。家具や内装材にも県内の木材を使用し、木のぬくもりと香りを感じられるようにした。
校歌は、作詞を「ハナミズキ」などのヒット曲で知られる一青さん、作曲をスタジオジブリ作品「千と千尋の神隠し」の主題歌「いつも何度でも」を作曲して歌った市内在住の木村弓さんに依頼した。
4月3日の「新設を祝う会」で、木村さんが歌声を披露した。「あしたもあさってもその先も 君を大切におもうよ 10年先もその先も 心つなごう」。木村さんは「詩の通り、友だちを大切にという思いを曲に込めました」と話す。
木村さんが、こんなエピソードを明かした。木村さんの曲に一青さんが詩をあてる「曲先」のはずが、一青さんが「参考に」とつづった詩にメロディーをつける「詞先」になってしまったというのだ。「詞先は苦手ですが、1週間で形ができました」と木村さん。
一青さんは、ビデオメッセージを寄せた。「この歌を口ずさんだり、聴いたりすることで、もっともっとこの学校を好きになってくれたらうれしいな」
4月5日が始業式、8日が入学式だった。
校歌「おおぐろの森」
すみれの花咲く畦道
背比べした僕らを
見守ってくれたムクノキ
百手で夢に届け
おおぐろ おおぐろ おおぐろの森
※あしたもあさってもその先も
君を大切におもうよ
10年先もその先も
心つなごう※
ルリタテハと共に
廊下駆けた思い出たち
若草の風が淋しさ
涙の海に帰すよ
おおぐろ おおぐろ おおぐろの利根
※※繰り返し
流れ山に雲がかぶさった
どこを歩けば
教えてくれたのは
木の葉のささやき
おおぐろ おおぐろ おおぐろの森
※※繰り返し
見えない世界を拓いて
明日へ弓射る君よ
のびる勇気いま手に
母なる大地に根差すは
おおぐろ おおぐろ おおぐろの森
※※繰り返し
SDGs わが街の一歩 持続可能な開発目標3柏の手作り科学館Exedraエクセドラ
害獣の革を教材利用
同館の教材で作ったブレスレット
柏市の「手作り科学館Exedra」(羽村太雅館長)が、千葉県内で駆除されたイノシシやキョンなどの革を利活用して動物の体の構造や生態などを学べる教材を開発した。レザークラフトも体験できる。
田畑を荒らしたりする害獣の駆除後、その皮がほとんど廃棄されていることに着目。それを活用した「害獣レザー」を使って野生動物や獣害について学べる。
教材内容は、野生動物の生態や体の構造のほか、ブレスレットの作り方、SDGsとの関連性について解説した冊子に、ブレスレット1個分の害獣レザー、型紙、木製ビーズ、穴あけポンチ付きだ。
害獣の肉はジビエ料理として人気も高まり、今後の貴重な食材としても注目を集めている。教材は1セット1,980円(送料別)。申し込み・問い合わせは、 info@exedra.org 同館へ。
柏市長屋門を半世紀ぶりに復元
旧沼南町の旧家・荒木さん
復元された長屋門と荒木家の皆さん
柏市藤ケ谷新田(旧沼南町)の旧家、荒木佑幸さん(82)方の長屋門が半世紀ぶりに復元された。かつて米蔵、馬小屋だったが、しばらく放置され、朽ちようとしていた。「荒木家のシンボル」として昨年、半年かけて修復した。交流空間も確保しており、地域に開放も考えているという。
荒木さんの先祖は江戸中期から後期にかけ、旧沼南町を代表する神社、塚崎神明社に伊勢皇大神宮から派遣された神官と伝えられている。
長屋門は明治に入ってから荒木さんの曽祖父に当たる14代当主、夏蔵さん(故人)が造った。長さ18㍍、幅4・5㍍、高さ4㍍。中央の正門を挟んで東側に14畳、西側に10畳二間ある。1965(昭和40)年ごろまで東側を作物貯蔵、西側を馬小屋、米蔵として使っていた。
実家を守る荒木さんと近くに住む姉の榮幸さん(90)は幼い頃から親しんだ。荒木さんは「夏場は涼しい日陰となったので、楽しい遊び場だった」という。榮幸さんは「小麦やサツマイモの置き場、ラッキョウの茎を切る作業場だった」と懐かしむ。
戦後の食糧不足からか、米蔵が泥棒の被害にあった。鍵を焼き壊してから侵入したらしく、今も黒い焼け跡が扉に残っている。
65年以降は母屋新築のため、家族の仮住まい場所となった。母屋完成後は物置小屋代わりに長年使われ、外壁がはがれたり、柱の一部が腐ったりで傷みが激しかった。
荒木さんの養子で元柏市沼南支所長の康生さん(67)は「荒木家のシンボルみたいなものだが、知らない親戚もいる」として修復を提案。
専門家の手を借りながらも家族総出での作業で増築の住宅部分を撤去、茅葺き屋根を瓦屋根に変えた。樹齢400年のケヤキを使った門扉を新設した。
門前の竹林も手入れし、北側を走る市道から見えるようにした。最近では小学生が生活科の授業で見学に訪れるようになった。
世話役の康生さんは「ゆくゆくは、地域の人の作品展示場所などとして、開放することを考えている」と話している。
[訂正]2021年4月20日号の記事中「荒木さんのおいで元柏市沼南支所長の康生さん」のところ、“おい”ではなく「養子」でした。確認が不十分でした。
日本音コンで1位に
柏出身の波立裕矢さん
波立裕矢さん
国内のクラシック音楽コンクールで若手音楽家の登竜門として知られる『日本音楽コンクール』(毎日新聞社・NHK主催)の第89回日本音楽コンクールが昨夏行われ、柏市出身の波立裕矢(はりゅう・ゆうや)さん(25)が作曲部門で見事1位を獲得した。
日本音コンは、戦前から続く権威と伝統のコンクールだ。受賞した楽曲は20分以内のオーケストラ作品、「模細工状の蝶・重力Ⅳ」。波立さんは「ショパンの練習曲『蝶々』やラベルの『蛾』などの引用をモザイクのように組み立て、うねるような重力を表現したかった」と話した。
柏市立光ケ丘中から県立小金高校を経て、愛知県立芸術大学に学び、現在は東京芸術大学大学院在学中。
幼い頃からピアノを習い、小金高校3年生の頃に作曲を始めたという。2019年、第35回現音作曲新人賞も受賞している。
上野にある芸大の奏楽堂で6月4日に行われる「創造の杜演奏会」では、新オーケストラ曲を発表予定。映画やドラマ音楽の仕事もこなす注目のアーティストだ。
5/30(日)ショートフィルム試写会
写真と音楽「美の饗宴」同時上映
柏市出身の荒井智晴さん(33)による初監督映画作品「パワーリフティング」(上映30分)を読者のみなさんと共に鑑賞する試写会を企画。コロナ禍の中、作品作りに挑戦するエンターテインメントを共に楽しみ、応援していきましょう。
上映作品は柏市内のジムが舞台。足が悪く、杖を利用しながらジムを訪れてパーソナルトレーナーに筋力強化を相談する高齢女性が主人公。通常のトレーニングからパワーリフティングにまで挑戦し、ついに日本一に輝く実話をドラマ化。柏市や流山市など地元の風景を随所に盛り込んでいる。
監督の荒井さんは、映画制作を学ぶため中国に渡っていたが、コロナ禍により帰国。映画制作助手や、中国書の翻訳を手がけつつ、柏市のジムのトレーナーで生計を立てている。
トレーニングを担当した流山市在住の市薗智子さん(74)が歩けるようになって、成果を挙げたことから、高齢者の運動促進にも参考になるのではと映画制作に着手した。市薗さん本人が出演。演技指導も荒井さんが担当したという。
試写会は5月30日(日)、キネマ旬報シアター柏で14時~15時30分。監督、出演者によるトークも。
★秋山庄太郎氏の写真と、中村由利子さんのピアノ演奏で贈る「美の饗宴」も同時上映。コロナ禍の苦難を共に乗り越えるための「心の休み時間」をご一緒に。
読者50人ご招待
ご希望の方は、ハガキに住所、氏名、年齢、職業、電話番号、今月の紙面についてのご意見・ご感想を書いて〒277-8691柏郵便局内私書箱46号 朝日れすか「試写会」係まで。当選者に招待券を送付。