朝日新聞柏支局長のコラム
中央学院、4強
「公式的には『一戦必勝』ですが、あとはご想像にお任せします」。選抜高校野球大会に出場を決めた中央学院(我孫子市)の監督は2月下旬、目標をこう話していた。私はユーモアのある回答だなと感じ、少し声に出して笑った。
甲子園未勝利で、主将が繰り返し答える目標も「一戦必勝」。私は、標語にも聞こえる言葉を「まず1勝だよね。実績はなく、2回戦以降のことは言いだしにくい。だから監督はユーモアをまじえて答えた」と受け取った。せいぜい1勝止まりの前提で聞いていた。
そして3月末の結果はベスト4。私は「実は上位を狙っていたんだ」と監督の言葉を思い出した。「守備力を鍛えれば全国レベル」とも言っていた。監督とのやりとりを聞いた選手たちは、私の勘違いに気づいただろうか。思い出すと、恥ずかしくなる。
150㌔の速球をはじき返す選手たちは日焼けこそしているが、髪形や体形は街で見かける普通の高校生にも見えそう。どこに強さが秘められているのか、想像がつかない。これが今の部員たちの姿なのだろう。
高校野球は、20日に開幕予定の春季県大会に続き、千葉大会が7月から始まる。軸になる中央学院は、どこまで勝ち上がるのか。期待したい。
朝日新聞柏支局長 斎藤茂洋