朝日新聞柏支局長のコラム

　「やったー」。選抜高校野球の出場校選考委員会が1月にあり、中央学院(我孫子市)の校長らは、報道関係者とともに職員室とは別棟の会議室でネット中継を見守り、校名が読まれると声を上げた。校長が足早に練習場に出向き「出場、おめでとう!」と伝えると、部員たちは目元だけに笑みを浮かべている。あれっ、喜び爆発じゃないの?
　同校は落選の可能性もある中、滑り込んだ。校長らは結果に目を見張った。私も、部員たちの満面の笑みを期待しながら練習場まで校長に同行したのだったが。
　部員たちはその後、校長のいない体育館で取材に応じた。緊張がほぐれ、冗談も。すると、ある部員が一部記者に「実は校長が話される前、校内放送があり、結果を知っていました」。ネットで見た職員が校長の報告前に校内放送をしたのだ。
　部員たちは練習のさなかに校内放送を聞き、仲間と抱き合い、涙も見せた。さんざん喜んだ後、校長から聞き、どう表現していいのか戸惑っていたのだ。
　出場連絡は以前が校長への電話で、昨春からネットに。そういえば改変を聞いた当時「先生、スマホで見てもう知ってたっス」みたいなことが起きるのではと思っていたっけ。部員たちの気遣いを思うと、一手間かかった以前が懐かしいな。

朝日新聞柏支局長　斎藤茂洋