朝日新聞柏支局長のコラム
鼓動する柏の大地よ
「コテ カシーワ エナグッルッネイ」(鼓動する柏の大地よ)――。柏ラグビースクールの小学生選手100人余りが9月、我孫子市であった試合後、こう歌いながら、ニュージーランド(NZ)の先住民族マオリの舞踊「ハカ」の柏市版「柏ハカ」を披露した。
足を踏み、胸をたたき、顔を突き出して舌を出し、目をむく。響き渡る声。私はその表情をカメラに収めようと何度もシャッターを切った。見守った他チームの選手から拍手がわいた。
柏ハカは4年前、柏がラグビーW杯でNZ代表の事前キャンプ地になった際、交流のあったNZ人から贈られ、スクールの選手が身につけた。歓迎イベントで披露し「発音、踊り、ともに完璧」と称賛された。
柏ハカには、照れたり、伏し目がちだったりする子は、一人もいない。見ていて楽しい。国際大会に絡むイベントの取材はたびたびするが、こんな経験は珍しい。コロナ禍でお披露目の機会は少なかったと言うが、スクールの伝統になっていると実感した。
柏ハカをしたくて競技を始める子もいる。選手の一人は「踊った後の試合はタックルに入る勇気が出る」ときっぱり。舞踊に気おされそうにすらなった私は、柏の大地から多くの日本代表が生まれると確信する。
朝日新聞柏支局長 斎藤茂洋