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朝日新聞柏支局長のコラム

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おにぎり君の笑顔

 柏市出身の隆の勝関(27)が「負けても学びがある」と話すと、市長が冗談めかして「今の言葉、もらってもいいですか」と話しメモを取るしぐさをした。満面の笑みで返す隆の勝関。周囲がパッと華やぐ。会話が弾む。夏場所後、市を表敬訪問したときのことだ。
 報道機関との質疑にも応じた。愛称・おにぎり君の由来を問うたところ「新十両でテレビで紹介された時、舞の海さんに言われちゃって。それ以来ですよー」。参っちゃった、と言わんばかり。口角を上げて答えたその顔はやっぱり、おにぎり君だった。
 取材前、夏場所が好調だった理由を本人から直接聞こうとは決めていた。だが愛称のことまで質問していいのか、迷っていた。それは杞憂だった。気兼ねなく話せる雰囲気は、彼がつくってくれた。
 同僚が以前、所属する部屋が貴乃花部屋と合併後、稽古相手に恵まれたと記事にした。年下の大関・貴景勝から「今の右差し、いいっすね」と助言され、相撲の幅が広がった。20代後半にして番付を上げた彼は「愛されキャラ」なのだ。
 数はわずかだが、こんな記者がいる。警察官や政治家を魅了して会話が弾み、特ダネが書けちゃうヤツ。そうだ、自分は隆の勝を目指さなければならない。

朝日新聞柏支局長 斎藤茂洋

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