朝日新聞柏支局長のコラム

　「コロナの影響で、都内から移り住む人が増えて物件は不足気味。ここは、広くて家賃は手頃。すぐに決めた方がいい」――。柏に赴任が決まり、アパート探しに来た2月末、不動産会社の男性社員にこう言われた。他社は似たり寄ったりで数も少ない中、閑静で魅力的。ただ、住民は3月中旬が退去予定で中が見られない。社会人になり30年。初めてアパートの中を見ずに契約した。
　県内の勤務は、成田支局員だった2010～13年以来、2度目。当時は、空港の発着枠拡大や警備の簡略化、格安航空会社の参入、東日本大震災による旭市の津波被害、原発事故に絡む県内への影響の取材に追われ、東葛地域に足を踏み入れる機会はなかった。
　着任した今、柏駅の周辺で買い物を楽しむ人たちの多さに目を見張る。チェーン店ばかりでなく、個人の小売店も多く、散策するのが楽しい。上野駅へは快速で30分の距離。都心へのアクセスの良さが、人々を引きつけているのだろう。
　新型コロナウイルスは、収まっていない。東葛地域に住む人たちが、どんな悩みを抱え、アイデアを出しながら、パンデミックを乗り越え、次代を担おうとしているのか。足を使って、現場に出向きます。北海道出身です。よろしくお願いします。


朝日新聞柏支局長　斎藤茂洋