朝日新聞柏支局長のコラム

　筆者の親の世代は、東京23区のマイホームは夢のような話で、我が家では都内のアパートから埼玉県の新居に引っ越した。バブル経済の1980～90年代は車のナンバープレートの地名が大事で、横浜や品川ナンバーにあこがれた。
　その後は、交通が便利だったり、環境がよかったりという条件が、街の人気度に影響していることが目立つ。川崎市の武蔵小杉駅周辺は、新宿、成田空港と一本でつながり、都内より安く購入できるタワマンの街として人気に。今年、リクルートが発表した「住みたい街(駅)ランキング首都圏版」では、流山おおたかの森が子育て支援の充実などで人気が急上昇した。
　こうした中、「住み替え」を提案しているのが我孫子市だ。都内まで電車の乗り換えがない通勤圏で、都内より安く購入できる家に住み、手賀沼でヨットやカヌーが楽しめる。都心に近い自然の魅力をアピールし、人口減を防ぎたい考えだ。
　筆者にも、転勤という住み替えの時期がやってきた。4月からの任地は宇都宮市。30年近く前に一度だけ訪れた街は、いま、どのような魅力を放っているのだろう。
　2年間、ご愛読ありがとうございました。新型コロナウイルス感染拡大収束後の東葛地域の姿を見たかったのですが、かなわなかったことが心残りです。

朝日新聞柏支局長　石原剛文