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朝日新聞柏支局長のコラム

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王者の目標

 「なぜ日本のテニス界からは世界的な選手が出ないのか」。錦織圭選手や大坂なおみ選手がまだ世界のトップクラスに入る前の2007年、記者会見で日本の記者がそう質問した。相手はトッププレーヤー、ロジャー・フェデラー選手。こんな答えが返ってきた。「日本にはクニエダがいるじゃないか」。
 東京パラリンピック車いすテニス男子シングルスで金メダルを獲得した国枝慎吾選手が10月、地元・柏市役所で秋山浩保市長に優勝報告をした。フェデラー選手の大ファンだという国枝選手。会場で当時の質疑応答を振り返ってもらうと、「すごく光栄なこと。震えた」。数年前、国内のイベントでフェデラー選手に会う機会があったといい、「『あの発言は本当なの?』と聞いたら、『本当だ』と言ってくれた」。
 東京パラリンピックの後、国枝選手は四大大会の一つ、全米オープン車いす部門シングルスで8度目の優勝を飾った。同部門の全豪、全仏も制しており、シングルスでは107連勝という記録もつくった。いま、世界的な選手であることは間違いない。
 まだシングルスで手にしていないタイトルは、最高峰とされるウィンブルドンだ。戦いの場は芝のコート。国枝選手は「一つ残っているというのは、大きなモチベーションになる」と抱負を語ってくれた。

朝日新聞柏支局長 石原剛文

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