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朝日新聞柏支局長のコラム

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目 標

 目標についての大切さを教えてもらえたのは、米軍従軍記者としてイラク戦争に向かう前の研修会の場だった。講師は元特殊部隊隊員。万が一、とらわれの身になったときにどうするべきかの話があった。
 実際の捕虜生活の経験談が紹介された。日々の生活はスケジュール通りに進み、拷問も含まれていた。そんな生活が続く中、自由時間にやることは決まっていた。自由の身になった時、マイホームを建てるための設計図づくりで、コツコツと描き続けて完成させた。この目標のおかげで、厳しい捕虜生活に耐えることができたという。
 この体験談と直接比較することはできないが、コロナ禍の生活は長期にわたる厳しさで、いつ収束するのか見えないままだ。希望の光はワクチン接種。海外でマスクを外した生活の映像がニュースで流れると、「いつか日本も」と期待が高まる。一方で、緊急事態宣言が繰り返される中、不安にならないと言えばうそになる。
 単身赴任中の筆者は、コロナが収束したら、家族と会う機会を増やしたいと考えている。日々の生活では、早起きや栄養を考えた食事など、体調管理を最優先事項にしている。こうした目標とスケジュールを気にしなくてもいい日が、いつか来る。それが一日でも早く来ることを願っている。

朝日新聞柏支局長 石原剛文

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