朝日新聞柏支局長のコラム
記者会見
テニスの大会で選手が記者会見を拒否し、罰金を科されたことはこれまで何度かあった。全仏オープンを含めた4大大会だけでなく、国内の大会でも起きている。何十年も前の話だが、海外の大会で「食料品を買いに行くから」と拒否した選手の記事を読んだ記憶もある。でも、大きな話題にはならなかった。
大坂なおみ選手が今年の全仏オープン開幕前、「自分を疑うような人の前には出たくない」などとして、記者会見に応じない意向を示した。これまでのケースとは違う長期的な拒否の姿勢で、真意が見えない中、動揺が広がった。その後、「長い間、うつに苦しんでいた」との告白で、動揺は気遣う声に変わった。
筆者の経験では、記者会見で記者の質問を受けるのは、市民への情報発信に責任がある立場だったり、重要なテーマを発信したいと強く願っていたりする人々だった。出たくないと感じた人もいただろうが、それは不祥事で説明責任が生じたケースだった。大坂選手のように訴えかけられたことはない。答えが見えず、今も戸惑っている。
情報発信のための記者会見は必要だと感じている。新しいかたちに進化するなら、否定する気持ちはない。いまはただ、大坂選手にコートに戻ってきて欲しい。そして、記者会見でもその姿を見ることができる環境が整うことを願う。
朝日新聞柏支局長 石原剛文
大坂なおみ選手が今年の全仏オープン開幕前、「自分を疑うような人の前には出たくない」などとして、記者会見に応じない意向を示した。これまでのケースとは違う長期的な拒否の姿勢で、真意が見えない中、動揺が広がった。その後、「長い間、うつに苦しんでいた」との告白で、動揺は気遣う声に変わった。
筆者の経験では、記者会見で記者の質問を受けるのは、市民への情報発信に責任がある立場だったり、重要なテーマを発信したいと強く願っていたりする人々だった。出たくないと感じた人もいただろうが、それは不祥事で説明責任が生じたケースだった。大坂選手のように訴えかけられたことはない。答えが見えず、今も戸惑っている。
情報発信のための記者会見は必要だと感じている。新しいかたちに進化するなら、否定する気持ちはない。いまはただ、大坂選手にコートに戻ってきて欲しい。そして、記者会見でもその姿を見ることができる環境が整うことを願う。
朝日新聞柏支局長 石原剛文