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けい君の赤いポシェット

関口 麻里子 (柏市 主婦・58歳)

 

 けい君は、保育園がお休みの日、リビングで、沢山の物をおいて遊んでいました。
「けい君、これあげるね」
 ママが手に持ってたのは、小さな赤い、がま口のお財布型のポシェットです。首から、かけられるように赤いひもつきです。
「かわいいね、ママ」「かわいいよね。ママの小さい時のだけど、かたづけしてたら、見つけたの。使ってないからきれいだよ。けい君、こうして遊べるよ」
 ママは、ポシェットのがま口を開けて、かごに入れている、ペットボトルのキャップ五個を入れました。
『パチン』と、ママは、がま口を閉じると、また開けて、キャップを出しました。
「けい君は、何を入れるかな」そう言うと、ママは、けい君の首に、赤いポシェットをかけました。
「うん、ママ」
 けい君は、さっき見ていた、じしゃく式になっている絵本にはる、マグネットのいろんな車を入れました。(きゅうきゅう車、パトカー、しょうぼう車、のってみたいなぁ)
 けい君は、ママに何度も教えてもらって、がま口を閉じることも出来ました。
(車にはのったことないけど、車をぼくのポシェットに入れたんだ。うれしいなぁ)
 けい君は、しばらくすると、『パチン』と、がま口を開けて車を出しました。次は、けい君は、同じしゅるいの本の、マグネットのいろんな恐竜を入れました。(トリケラトプス、ステゴザウルス、ティラノザウルス、背中にのってみたいなぁ)
 けい君は、風景だけの恐竜の本を見ているだけで、わくわくしてきます。
 しばらくすると、ママが言いました。
「けい君、いっしょにお買い物行こうね」
「うん、お買い物行く」
 ママとけい君は、近くのスーパーマーケットまで、歩いてお買い物に行きました。
 もちろん、けい君の首には、赤いポシェットがかけてあります。スーパーに着くと、お店には、けい君のポシェットには入らない物が沢山あります。
 だけど、ママは、けい君のポシェットに入る、一個一個パックした箱ビスケットを買いました。
「お家に帰ったら、ポシェットに入れようね」
「わーい、ありがとう」
 けい君は、お家に帰って、ビスケットもポシェットに入れるのが、楽しみになりました。
 その日の夜、けい君は赤いポシェットを、枕元において寝ました。
(ぼくのポシェットっていいなぁ)
 けい君は、明日が来るのが楽しみでした。

 

童話作家緒島英二さんより

 ポシェットの使い方を知って、けい君はまた成長しましたね。けい君はきっと、ポシェットに未来も詰め込んでいくことでしょう。明るい文章が、誰をも前へと進めてくれます。

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