読者投稿オリジナル童話
お兄ちゃんになった日
のはら みどり(松戸市 パート・60歳)
かずま君は3才です。妹がうまれることになりました。ママが入院して、かずま君はばあばの家にとまります。
「ママとねたいよぉ」夜になって、かずま君の目からなみだがポロリと落ちました。
「ママは赤ちゃんとねんねしてるから、もう少しおとまりしたら帰ってくるからね」
とばあばが言いました。かずま君は泣きながら、やっとねむりにつきました。
5日後、ママが妹と帰ってきました。かずま君はうれしくてママにとびつきます。ママもうれしそうです。
「フェーン」妹が泣いています。ママはおっぱいをあげます。すると、「かずまもおっぱいをのみたいよぉ」とかずま君がなみだぐみながら言うと、ママは、「ママのおっぱいは赤ちゃんのごはんだからかずまにあげられないんだ」と言いました。かずま君はしかたなくうなずきました。そして、妹がねている時は、ママからはなれません。ママも、「今ならだっこできるからおいで」と、かずま君を抱きしめます。
ばあばの家から、自分の家に帰ってきました。ママは二人のお世話でてんてこまいです。「フェーン」妹が泣きはじめました。おっぱいをあげ、おむつもかえたのに泣いています。
ママはかずま君に妹のそばでみているようにたのみました。すると、妹が泣きやみました。「かずまがいると泣きやむねぇ。ママは助かるわ」とママが言うと、かずま君は得意そうです。ママはかずま君に、妹のお世話をたびたびたのむようになりました。
ある時は、ベッドに一緒に寝てよしよしとしてもらったり、ガラガラをふって遊んでもらったりしました。
妹は、かずま君が笑うと、一緒に笑うようになりました。もうりっぱなお兄ちゃんです。
これからも、妹と一緒に仲良く大きくなってねと、ママは思うのでした。
童話作家緒島英二さんより
妹という新たな生命の誕生を、兄のかずま君がどう捉え、自分の成長にどのように繋げていったのか、心の育ちが優しく伝わってきます。家族皆んなの明日への光が、いつまでも輝きます。