読者投稿オリジナル童話
メイちゃんは弁士さん
福山 フミ子(つくば市・無職72歳)
四年生の午前の授業が終わり、いよいよ楽しい給食です。メイちゃんが良い香りだなア、と思っていると教室の後ろの方でミホちゃんとかおりちゃんが何か言い合っています。
「どうしたの?」早速メイちゃん参上です。
「私の誕生日にお父さんにもらったハンカチが下駄箱の前に落ちていたから拾ったらミホちゃんが私のよ! 返してと言うの」
メイちゃんが見せてもらうと白いハンカチにアジサイの花がししゅうしてあってとてもきれいです。そして花の上にカタツムリが二匹乗っていました。それを見てメイちゃんはひらめきました。
「ミホちゃん、この前お母さんとデパートで買ったのよって私に見せてくれたあのハンカチとそっくりね。でもミホちゃんのは花の上にカエルの親子が乗っていたと思うけど」
ア! そうだったわ、あわててポケットに手を入れるとくしゃくしゃになったハンカチが奥の方から出てきました。
ミホちゃんはかおりちゃんごめんなさい。かおりちゃんはメイちゃんありがとう、と言って又三人の仲良しに戻りました。
しばらくすると今度は男の子が4~5人で言い合いをしています。メイちゃんは訳を聞きに行きました。
レン君がベソをかいてうつむいているとカイト君が「後ろの壁に貼ってあるぼくの絵を破いたんだ」と言うのです。レン君の言い分はカイト君の絵が少し曲がっていたから直そうと思ってピンをはずす時破れた、という事でした。
メイちゃんは「カイト君、わざと破いたのではないから許してあげて!」と言うと先生からセロテープを借りて来てうらの方に二カ所テープで止めました。皆の協力もあって絵は元通りにきれいになりました。すごいすごいと言いながら皆、ニコニコ顔です。
今日、二つの出来事を解決したメイちゃんは大変満足そうでした。
童話作家緒島英二さんより
生き生きとした子どもたちのやりとりが、巧みに描かれています。機転のきくメイちゃんは、今後もみんなに頼られるのでしょう。