読者投稿オリジナル童話
もうしないわ
菅原 当栄(鎌ケ谷市 主婦70歳)
こうえんがいっぱいあるまちに、ちいさなおんなのこがいつもじてんしゃにのっていました。そのこは けいちゃんです。おともだちとあそぶのがだいすきです。でもいつもあつまるじかんにおくれてしまいます。
「もっとはやくきてね」
「うん わかった ごめん」をなんかいもくりかえしていました。
きょうもけいちゃんは「きょうは おくれないよー」とひっしにじてんしゃをこいでいます。
「バシャン……」じてんしゃといっしょにいけにおちてしまいました。はやくいかなきゃとまわりをあまりみていなかったのです。
いけのなかからめだかのおかあさんがでてきました。
「まあ たいへん だいじょうぶ」
「わー いたい どろだらけになっちゃった えーん」
「これからは あわてないように もっとはやく いえをでようね」
「うん もうあわててじてんしゃではしらないよ。もっとはやくいえをでるよ」
「そうそう そうしようね」
そのひからけいちゃんは おともだちとあそぶとき、はやくいえをでて ゆっくりじてんしゃをこぎました。
「もう しないわ おくれたりしないわ」
「どうろのはながきれいにさいているわ、いままでいそいでじてんしゃをこいでいたのできがつかなかったのね」
おともだちもけいちゃんにいいました。
「けいちゃん ちこくしなくて いいこだね」
「えへへ、いままで ほんとうに ごめんね」
それから、おともだちとずっとなかよく あそびました。
童話作家緒島英二さんより
けいちゃんの心の移ろいが、心地よく伝わってきます。ゆったり過ぎる時間の中で小さな宝物を沢山見つけることでしょう。