読者投稿オリジナル童話
けんちゃんのやま
船越 ちよみ(柏市 主婦 59歳)
きょうは、パパとママがおでかけなので、おばあちゃんのいえにきた けんちゃん。
おばあちゃんが、かだんにはなをうえているちかくで、やまをつくりはじめました。
「おばあちゃん てがいたいよー」
「はい、はい。つちがかたいのね」にこにこしながら、おおきなすこっぷでざくっ ざくっとつちをほりだしてくれました。
「おばあちゃん やま、ちっちゃいよー」
「はい、はい。いっぱい、つちをすくおうね」にこにこしながら、すなあそびようのばけつにつちをいれ、どさっ どさっと やまにかけてくれました。
「おばあちゃん おちてきちゃうよー」
「はい、はい。つちがおちないように、かためようね」にこにこしながら、ふるいきのへらをもってきて、ぺたぺたぺたぺたとやまのまわりをかためてくれました。
「おばあちゃん みてー。ぼくのやまだよ」
「はい、はい。けんちゃんのやま おっきいねー。すごいねー」にこにこしながら、おばあちゃんは、ちいさなさんしょくすみれのはなをやまのそばにうえました。
「おはなもけんちゃんのやま、みたいって」
「いいよー」けんちゃんは、にこにこしながらうなづきました。
それから、ちいさなじょうろになんどもみずをいれ「あめだよー」とやまとおはなにみずをかけました。
じゃーじゃー どろどろ じゃーじゃー どろどろ やまもおはなもどろみずで ぐったりしました。
「おしまい!」けんちゃんはそういうと、じょうろをしまって、おうちにはいりました。そしてパパとママがむかえにくるまで、たくさんたべて たくさんねむりました。おはなは、おばあちゃんにきれいにしてもらいました。
童話作家緒島英二さんより
おばあちゃんとけんちゃんの、心の交流が自然に描かれています。山には、宝物がいっぱいつまっているでしょう。