
今回ご紹介するのは、キネマ旬報シアターセレクション『春をかさねて』『あなたの瞳に話せたら』の二作品です。この二作品は、ともに東日本大震災をモチーフに制作された中編で、休憩なしで続けて上映されます。
『春をかさねて』(45分)=中学三年生の祐未とれいは、2011年3月11日に宮城県石巻市の大川小学校でそれぞれの妹を亡くした。この大きな出来事への対処の違いから、仲の良い二人は気まずくなってしまう。思春期の少女や少年を淡い色彩で描くみずみずしい作品。監督自身の経験や、友人や周囲の多くの方々のお話を聴いて生まれたフィクションです。
『あなたの瞳に話せたら』(29分)=書簡形式で語られるドキュメンタリー作品。監督含む三人の若者が、亡くなった仲間やきょうだいに手紙を綴ります。大川小学校の、あの特徴のある素敵な建物が、震災前の状態も、震災後の状態も映し出されます。2015年、この建物の今後の対応について取り壊しの声が大きかった中、強く保存を望み声を上げた子どもたち。かつてこの校舎で学んだ子どもたちが手紙を綴りました。
一週間のみの限定上映ですので、お見逃しなく。 (増田玲子)
キネマ旬報シアター柏で上映