鎮守の森に笛と太鼓の音が響き、三匹の獅子が勇壮に踊りだす――。松戸市の「上本郷の三匹獅子舞」が10月11日に催された。89歳を筆頭にしたベテランの笛吹たちに支えられ、中学3年生を含む若手の舞子たちが、伝統の舞を披露した。
「上本郷の三匹の獅子舞」は、江戸時代から同地区で続く、市指定の無形文化財。舞子たちは、神様に供えた鹿を模した「獅子頭」をかぶり、五穀豊穣や疫病退散を願って舞う。この日も、午後1時から風早神社で、日が暮れた午後7時から明治神社で、舞が奉納された。
最年少の舞子は、松戸第六中3年の松丸陽斗さん。昨年から加わった。「兄が舞子をしていて『かっこいい』と思った」。踊りは、大獅子と中獅子が女獅子を取り合う物語。1時間以上、舞い続ける。「去年は獅子頭を重たく感じて大変だった」。大獅子を演じた2年目の今年は「最後はみなさんの拍手に支えられ、踊り切ることができた。来年も頑張ります」。

舞子は体の前につけた太鼓を叩きながら踊る。支えるのが笛吹たちだ。最高齢は89歳の秋谷操さん。十代のころから吹いてきた。「初めは、踊りも太鼓も笛に合わなかった子が、年数を重ねるにつれ、ぴたりと合ってくる。その成長を見るのが楽しい」という。「もう、息が続かない」と苦笑いしながら、この日も地域の若者たちを笛の音でしっかり支えていた。

伝統芸能が各地で担い手不足に悩むなか、上本郷では、舞子を卒業した人たちが世話人となり支える。世話人の代表、井ノ川和寛さん(39)は、三匹獅子舞を知らない地域の人たちが多いことに驚いたことがある。そこで小学校に出かけ、郷土を学ぶ授業で教えたり、LINEを使ってPRしたりと、獅子舞を支える底辺拡大に努める。「獅子舞を通し、中学生から卒寿の方まで、様々な年代の人たちとつながりができるのが面白い」。そんなみんなの思いが一つになり、伝統がつながっていく。
松戸市内では、和名ケ谷、大橋でも三匹獅子舞が受け継がれている。

