
塾や予備校などの講師を小学校算数科の専科指導者として活用し、児童の学力向上への効果を検証する公開授業が昨年の11月27日、江戸川台小(流山市)5年生を対象に行われた。これは県教育委員会が塾講師の指導力の状況や、外部人材導入上の課題など、調査研究のためモデル的に実施したもの。
プロポーザル方式で業務を公募し、今回は学習塾を県内中心に展開する「市進」に委託。県内3校の5年生を対象に、6・7月と、11・12月の2期間、計40日間の調査事業を実施した。
公開された授業は「速さ」の授業。講師は2人の走った時間と距離からどちらが速いかを児童に問いかけた。1秒あたりに進む距離、1㍍を走る時間、両方で計算。数値の解答だけではなく、結論を児童に言語化させるという、市進が基本とする「共演授業」を展開。児童と一緒に授業を作っていく方法だ。このほか、陸上男子100㍍の世界記録保持者ウサイン・ボルトさんを例題に速さの計算もあり、そのスピードに児童はびっくり。「ボルトの出題のような小ネタを挟んでくれて楽しい。他の教科も受けてみたい」と工夫を凝らした授業に児童たちは興味津々、満足気だった。田中明子校長は「子どもたちは緊張感を持って、楽しみながら集中して取り組んでいる。教員も教え方の手法の学びの機会にもなっている」と話した。
小学校の支援ができればとの思いで今回応募したという市進の三木健二社長は「生徒に考えさせ、言葉で言えるところまで落とし込むことを目指す共演授業の取り組みに手ごたえを感じている」と話した。
今回のモデル事業は、千葉大に委託をして効果検証を行う予定。県教育委員会は「よい結果が出れば、次につなげていきたい」という。