
サッカーのJ1柏レイソルは12月9日、東京・国立競技場であった第103回天皇杯全日本選手権大会の決勝で、PK戦の末に川崎フロンターレに敗れて準優勝となった。延長を終えて両チーム無得点。PK戦も10人目までもつれる接戦だった。
6万人を超える観客で埋まった聖地での決戦。11大会ぶりの日本一を狙う柏は前半、持ち味の堅守速攻から何度もチャンスをつくった。15本のシュートを放ちながら、決めきれなかったのが惜しまれる。
後半は一進一退の攻防が続くなか、細谷真大が何度も川崎のDFラインの裏へ抜け出そうと試みる。育成組織出身の22歳は今季、自己最多の14得点を挙げてエースに成長。日本代表に選ばれ、ゴールも決めた。
細谷は後半と延長前半の2度、川崎のGK鄭成龍と1対1になる絶好の得点機を演出した。最初は自らのミス、2回目は鄭の好セーブにはばまれ、この日はゴールが遠かった。
120分間で決着がつかず、PK戦に突入。互いに2本ずつはずして迎えた10人目のGK対決に敗れ、劇的な幕切れとなった。
柏は今季、リーグ戦で18チーム中17位と低迷。最終節でようやくJ1残留を決めた。苦しいシーズンだったからこそこの試合にかける思いは強く、持てる力は出しきった。
試合後の記者会見。柏の井原正巳監督は「いい試合をしたと思う。やろうとしているサッカーを全員が表現してくれた」と選手をたたえ、「残念だったが、必ず次につながる準優勝だと思う」と前を向いた。
サポーターも熱い声援を送り続けた。流山市の会社員、岡田哲生さんは長男の蒼良さん(小学4年)と観戦。柏が準優勝した2020年ルヴァン杯の決勝にも駆けつけたという哲生さんは「内容がよかっただけに残念。この悔しさを次につなげてほしい。来季も応援します」と話した。
