
今回ご紹介する映画は、『黒牢城』。巨匠・黒沢清の最新作は、監督初の時代劇となる。今年のカンヌ国際映画祭ではカンヌ・プレミア部門に出品し、満員の会場でスタンディングオベーションの喝采を浴びた。
本能寺の変より四年前。荒木村重(本木雅弘)は暴虐な織田信長のやり方に反発し、籠城作戦を決行する。城は織田軍に囲まれ孤立無援に。城内の血気盛んな家臣たちを抑えながら、村重は妻・千代保(吉高由里子)を心の支えに、城と人々を守ろうと苦心していた。そんな時、城内である少年が殺される事件が発生。その後も怪事件が次々と起こる。容疑者は、密室と化した城内に居る家臣や身内の誰か。城外は敵軍。誰もが疑心暗鬼になっていく中、村重は牢屋に囚われた危険な天才軍師・黒田官兵衛(菅田将暉)と共に謎の解決に挑む。事件の驚きの真相とは――。時代劇ながら、黒沢監督らしいどこか不気味さを抱えた戦国心理ミステリー映画が誕生した。地下牢に差す微かな光。揺れる半透明の垂れ幕。籠城中の空間で繰り広げられる舌戦はスリリングであり、それぞれの人物の抱える歪みはざらついた感触を残すだろう。 (橋岡直人)
黒沢 清監督/147分
出演:本木雅弘/菅田将暉/吉高由里子ほか
キネマ旬報シアター柏で 8/22㈯~上映


