
柏市の国際交流活動の中核を担っているNPO法人「柏市国際交流協会(KIRA)」が昨年、創立30周年を迎えた。海外の姉妹友好都市や同市在住の外国人との交流、ウクライナ避難民への支援など幅広い分野で活動しているボランティア組織だ。KIRAの「あゆみ」と「未来」を、小菅あけみ会長に聞いた。
同市の国際交流は、米国西部トーランス市と姉妹都市になった1973年にはじまる。その後、友好都市になった中国・承徳市、グアムの海外3都市との国際交流団体を統合し、92年にKIRA(キラ)が設立された。2012年にNPO法人の認証を受け、16年には柏市国際交流センターの指定管理者となった。
オーストラリア東部の町キャムデンを加えた4姉妹友好都市との交流では、青少年交換派遣プログラムなどを推進してきた。「多様性を知り、共に生きていく世界が平和につながると肌で感じることができる。学生は若いときにそれを実感することで、一生の方向づけになります」。小菅さんは成果を強調する。コロナ禍で活動が制限されたときも、オンラインで交流を続けてきた。
KIRAの活動は多岐にわたる。同市に住む外国人のために日本語教室や、日本文化を紹介する各種イベントを開催。市民向けの語学講座も好評だという。ロシアによる軍事侵攻でウクライナから同市に逃れてきた人たちに対しては、日本語指導や生活支援の募金などを続けている。
創立30周年の昨年からことしにかけて、記念式典や記念誌の刊行などで節目を祝った。東京パラリンピック車いすテニス男子シングルスで優勝し、引退した同市出身の国枝慎吾さんの講演会なども開いた。「国枝さんは、強い信念をもった方。何度挫折しても、挑戦し続けることがすごい。勇気づけられました」
未来へ向けては「若い世代や外国人のリーダーの育成」を課題にあげ、組織改編も検討中という。「いろいろな国の人と意見を交換しながら、よりよい世界をつくっていきたい」
小菅さんが国際交流活動に携わって半世紀以上。ホストファミリーになったのがきっかけだった。KIRA設立後は事務局長、副会長を歴任。4年前、会長に就任した。「私はこの仕事をするために生まれてきたのかな」と感じている。
ウォーキングツアーで交流
外国人留学生らとの交流を目的とした「春の交流ウォーキングツアー」が5月14日にあった。KIRA交流委員会柏の葉分科会が5年前から実施している。
午前10時、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅に集合。外国人が2人参加した。ドガンカン・カラバスさん(32)はトルコ生まれ。東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構の特任研究員として昨年9月に来日し、数学を研究している。友人のチェリーさん(29)はフィリピン生まれ。昨年10月に来日し、日本語を学びながら英会話スクールで教えているという。
最初に訪れた柏の葉公園はバラが見ごろだった。86種類、約1000株あるという。雨が降り出し、園内の茶室で抹茶をいただきながら雨宿りした。
次に向かったのは、こんぶくろ池自然植物公園。都市近郊に残された自然の森で、東京ドーム約4個分の広さがある。園内のこんぶくろ池と弁天池は手賀沼の源流のひとつだ。おにぎりで腹ごしらえしたあと、ガイドの案内でうっそうとした森のなかを散策した。
ドガンカンさんは昨年11月のツアーに参加し、諏訪神社を訪れた。来年2月にもツアーが計画されていることを知り、「ぜひ参加したい」。チェリーさんも自然美を満喫したようだ。