東大柏図書館、地域と20年 友の会会員主催で落語会も

東大柏図書館で落語を披露する春風亭昇吉さん=柏市

 ふだんはアカデミックな雰囲気に包まれている東大柏図書館(柏市)に、笑い声があふれた。3月18日、1階ホールで開かれたのは落語会。柏図書館友の会の会員が主催し、多くの地域住民が足を運んだ。同館は今年、開館20周年を迎え、地域とのつながりが広がっている。
 落語会に出演したのは、東大卒の落語家、春風亭昇吉さん。約140人が入るホールで、「長屋の花見」や「芝浜」を披露した。昇吉さんは「大学の図書館は最近、地域に開放されてきており、こういう場で落語ができてうれしい。特に今回は東大の図書館なので、私にとっては『ホーム』感がある」と楽しそう。この日は、満席となる人気ぶりだった。
 同館では、市民もネットで事前検索した蔵書を閲覧できるほか、年会費2千円(入会金3千円)の会員になると、図書を借りたり、ホールなど施設を有料で使ったりできる。今回の落語会は、会員で東大落語研究会OBの宗岡広太郎さん(84)=流山市=が、「地域の人にもっと落語に親しんでほしい」と、落研の後輩、昇吉さんを招いて開催した。宗岡さんにとって同館は「現役を引退してから通うようになったが、利用している研究者たちの真剣な様子に、いつも刺激を受けている」存在だ。
 2005年に正式開館した同館は「知の交流を支える図書館」を掲げ、地域住民も参加できるサイエンスカフェやミニコンサートを開催、地域とのつながりを大切にしてきた。「学術書のほかにも、自然科学の入門書や博物館の図録などの蔵書もあり、地域の方にも利用してもらえたらうれしい」という。

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