
「けんかしないで!」
そんなストレートな問いかけをする歴史の企画展が、野田市郷土博物館で開かれている。千葉県北西部の各地に残る、太平洋戦争に関する資料や古代の戦いにかかわる遺跡、漁業権を巡る争いの記憶などを紹介し、様々な年代、角度から、人と人の争いの様相を浮き彫りにする。2月22日には、担当者によるギャラリートークを予定している。
主催は、千葉県北西部11市の文化財担当部署でつくる協議会。隔年で共通テーマによる発表会・企画展を開いており、2025年が戦後80年にあたることから、今回は「争い」をテーマに設定したという。
太平洋戦争を巡っては、流山市が海軍パイロットを目指す一人の青年の歩みや思いを、手紙などを通して紹介。野田市は戦争終結時の総理大臣の鈴木貫太郎を、市川市は空襲被害を取り上げ、政治家から市井の人々まで、様々な立場からの戦争を振り返る。
船橋市と浦安市は、江戸時代の漁業権を巡る両地域の争いを、それぞれの地域の歴史を通して伝える。ともに、長年にわたる騒動や訴訟のなかで、命を落とした漁師らがおり、複眼的な視点で「争い」を知ることができる。
また八千代市は、掘立柱建物跡が多数発掘された古代の上谷遺跡などについて、当時の朝廷と東北地方の蝦夷(えみし)との戦いの中で、物資を東北に送る朝廷側の兵站拠点だったのでは、との見方を示す。現代の争いとして習志野市が扱ったのは、1954(昭和29)年の習志野市誕生に至る過程で起きた津田沼町、幕張町の合併を巡る騒動。ハンガーストライキが行われるほど対立が激化しており、戦後の「争い」を写真も使って伝える。
野田市の学芸員、笹川知樹さんは「100年後、200年後に、自分たちがこの展示ケースの中の資料として扱われないように、この地域の歴史の記憶を自分ごととして考えてもらえたら」と話す。
会期は3月23日まで。火曜日休館。入館無料。2月22日の午後2~3時には、展示担当者によるギャラリートークがある。
B29の破片、銃後の暮らし 「野田市域の人々と昭和の戦争」同時開催
野田市郷土博物館では、「けんかしないで!」と同時開催で、「野田市域の人々と昭和の戦争」展を開催している。同市では、空襲などで直接大きな被害を受けることはなかったが、住民が徴兵されたり、軍需工場が置かれたり、子どもたちが勤労奉仕に動員されたりした。
展示では、同館が所蔵する木銃や写真などのほか、市民提供による墜落したB29の破片や当時の軍服なども紹介。さらに市民から聞き取った、米軍機による機銃掃射の様子なども伝えている。
会期は3月23日まで。火曜日休館。入館無料。2月22日、3月14日の午後1時半~2時に、展示解説を予定している。




