街路灯から我孫子市民を見守ってきたオオバンが、再就職先を探している。街路灯の再編で、来年にも止まり木がなくなるためだ。すでに1羽は一足早く新潟へと旅立ち、新たな暮らしを始めた。まだまだたくさんいるオオバン、再就職先をどなたかご紹介いただけませんか?
「再就職先」を探すオオバンのオブジェがあるのは、JR我孫子駅に近い国道356号などの街路灯。地元の寿商店会が約30年前、街路灯を整備する際、約40羽を取り付けた。オブジェの形をオオバンに決めたのは、我孫子市の鳥だから。製造についての細かな記録は残っていないが、重さ約7キロ、全長約40センチの鋳物だ。羽を大きく広げて飛び立とうとする姿は、長年にわたって市民に親しまれ、商店街の通りを「オオバン通り」と呼ぶ人もいるという。
しかし街路灯は老朽化し、止まり木部分も錆び始めた。そこで現在ある街路灯を来年には撤去し、新たな照明を取り付ける方向で関係者の間で調整が始まった。止まり木のなくなるオオバンをどうするか。寿商店会では「このまま捨てるのは忍びない。『再就職』させてあげたい」と、オオバンを希望者に2万円で譲ることにした。商店会への寄付金という形で、置いて飾るための芯棒の取り付け費や撤去のための費用に充てる。
ボルトが錆びてきたため、一足早く取り外したオオバンについて、11月1、2日に同市で開かれたジャパン・バード・フェスティバルで「再就職先」を呼びかけたところ、さっそく引き取り手が現れた。
その一人、新潟県阿賀野市の瓢湖白鳥観察舎販売組合の土井一心太さん(43)は「以前から我孫子の街路灯のオオバンを見て、『すごいね』とスタッフと話をしていた。そのオオバンが再就職先を探していると知り、すぐに申し出た」という。瓢湖は、白鳥の飛来地として有名だが、近年はオオバンの飛来数も増え、人気者に。同組合でもオオバンのステッカーや缶バッジを販売している。我孫子からやってきたオオバンは、瓢湖が見える窓際に置かれ、観察舎を訪れる人々を出迎えているという。
我孫子の寿商店会の渡辺一彦会長は「30年間、街を見守り、人々を出迎えてくれたオオバンなので、ぜひ、引き続き大切にしてくれる方に引き取ってもらい、『再就職』させてあげたい」と呼びかける。
撤去作業は来年を予定しているため「まずは再就職先の『予約』を」。我孫子市内であれば商店会が直接届け、市外の場合は別途送料が必要。問い合わせは渡辺寝具(04・7182・0810)、またはメール(wata.huton@gmail.com)で。実物は1羽、JR我孫子駅前の我孫子インフォメーションセンター「アビシルベ」で展示中。





