
戦後80年の今年、戦争と柏のかかわりを知ってもらおうと、パネル展「柏に残る戦争遺跡」が、8月13日から柏市のパレット柏で開かれている。16日まで。
主催は、地域の歴史を研究し、戦争遺跡の保存などに取り組む柏歴史クラブ。過去に展示したパネルや資料のほか、1945年5月に米軍が撮影した柏の空中写真や、陸軍柏飛行場に配備予定だったロケット戦闘機「秋水」のエンジン模型、近年新たに確認された陸軍藤ケ谷飛行場(現・海上自衛隊下総航空基地)の秋水燃料庫跡の写真なども新たに紹介する。展示パネル・資料は約120点。
会場には、柏飛行場に関する資料のほか、2023年に国の登録有形文化財になった陸軍高射砲連隊の演習施設の模型や、日立製作所など軍需工場の空中写真も並ぶ。市民から寄贈された軍隊手帳などの戦争遺品もあり、様々な角度から柏と戦争のつながりが浮かび上がってくる。
同クラブは「柏では現在も米軍の爆弾が発掘され、世界各地で多くの人々が戦禍にさいなまれている。このような状況を歴史上の出来事、他国のことと等閑視せず、柏、現在に引き付けて展示をみてもらいたい」という。

また秋水のエンジン模型は、秋水研究家の柴田一哉さんが、元航空エンジン技術者の近藤元男さんから3Dモデルデータの提供を受け、作成した。実物の3分の1の縮尺で、今回が初の展示。柴田さんは模型を作りながら、バネやネジでロケットの蒸気圧力や推進剤の流量調整をすることの難しさを改めて感じ、「それにも関わらず試験飛行が強行され、殉職事故が起きた」と指摘する。柴田さんは「エンジン模型を通し、当時の日本軍が何をしていたのか、どんな技術レベルだったのかを知ってもらえれば」と話している。
パネル展は午前10時~午後5時。16日は午後3時まで。

