
松戸市は8月30日、大学生らを対象に市内の「常盤平団地」見学ツアーを開いた。 「 SDGs (持続可能な開発目標) 」の達成に向けたモデル事業の一環。高齢化が進む団地に入居する学生に引っ越し費用を補助したり、「Z世代」と呼ばれる若者のアイデアを団地の新たな魅力づくりに反映させたりする。
引っ越し費用10万円を補助
見学ツアーは、同団地を維持管理するUR都市機構が共催。市の担当者が今回のイベントの趣旨や入居支援制度について説明したあと、UR都市機構の職員らの案内で一般住戸やモデルルームなどを見学した。
新たに団地に入居する30歳未満の学生には、同団地エリアで市が主催するSDGs活動「まつどSDGsキャラバン」への参加を条件に、引っ越し費用10万円を補助する。先着5人が対象。補助額が5万円だった昨年度は、入居希望者がいなかったという。
同団地は約5000戸の大規模団地で、高度経済成長期の住宅不足を緩和するために整備された。1960(昭和35)年の入居開始から60年以上が経過。市全体の65歳以上の高齢者は約26%だが、同団地エリアでは約50%となり、自治会活動などを担う人材が不足しているという。
2022年5月に内閣府から「SDGs未来都市」に選定された市は、「Z世代を起爆剤とした常盤平団地エリアのリ・ブランディング」をモデル事業に位置づけた。リブランディングは「再構築」の意味。若者の入居を促すとともに、Z世代の力を借りて持続可能なまちづくりをめざす。
昨年2月、市内にキャンパスがある聖徳大学、流通経済大学、千葉大学の学生たちが中心となって「まつどSDGsフォーラム」を開催。同団地エリアをテーマに、「Z世代が提案する魅力的で持続可能なまちづくり」として7つのアクションプラン(行動計画)を発表した。
たとえば、アクションプラン3「歩きたくなる健康なまち@常盤平団地」。市が推進するSDGsモデル事業の一つに「TOKIWALK」がある。同団地エリアに設置されたチェックポイントをスマートフォンで読み取りながら、歩いて巡る健康プログラムだ。学生たちは、この取り組みを地域に広げるための活動に携わっている。
見学ツアーに参加した聖徳大の2年生(19)は現在、東京都内に部屋を借りて通学しているという。住居費や食費などで月々11~12万円かかるといい、「親に負担をかけたくないし、卒業後は松戸市で保育士の仕事に就きたいと思っているので、引っ越しを考えています」と話した。