琴ノ若が大関昇進 夏場所で「琴桜」襲名

大関昇進の伝達式を終え、笑顔の琴ノ若=松戸市(代表撮影)

 松戸市出身の大相撲力士、琴ノ若(26)=本名・鎌谷将且、佐渡ケ嶽部屋=が大関に昇進した。母方の祖父が「猛牛」の異名をとった第53代横綱琴桜、父親が師匠で元関脇琴ノ若の佐渡ケ嶽親方。番付では父を超え、祖父と並ぶ最高位をめざす闘いがはじまる。

 琴ノ若は先の初場所で13勝を挙げ、横綱照ノ富士との優勝決定戦に進んだ。初優勝は逃したが、大関昇進の目安とされる「直近3場所を三役で計33勝」に到達。満場一致で大関昇進が決まった。
 松戸市の佐渡ケ嶽部屋で1月31日にあった昇進伝達式。琴ノ若は「感謝の気持ちを持って、相撲道に精進してまいります」と口上を述べた。しこ名は、3月の春場所だけ「大関琴ノ若」として土俵に立ち、5月の夏場所から「琴桜」を受け継ぐ予定だ。
 新大関の誕生は、昨年名古屋場所後の豊昇龍以来で、春場所は1横綱4大関となる。千葉県出身の大関は1955(昭和30)年秋場所後の松登以来、69年ぶりとなった。
 相撲部屋のひとり息子として生まれた琴ノ若。2歳から祖父の隣に陣どり、上り座敷の最前列で稽古を見学していたという。厳しい世界と知りながら、相撲に熱中していく。

柏相撲少年団の卒業生

 小学生になると、柏相撲少年団(柏市)で稽古に励んだ。小学5、6年生の時に指導した同少年団代表の永井明慶さん(41)は「ほんわかとした、やさしい子だった。体は大きかったが、特別強かったという印象はない。大関になるとは正直、予想していなかった」と成長ぶりに目を細める。
 「年に数回、親方が見学にみえて『相撲の指導はお任せします』という感じだったが、礼儀にはすごく厳しかった。目を見てあいさつをしないと体を引き戻してやり直させ、頭を下げる角度まで注意していた」
 永井さんは柏市内の私立高相撲部監督時代に豊昇龍らを育てた実績がある。豊昇龍に続いて、教え子であり、高校(埼玉栄)の後輩でもある琴ノ若が大関になった。「誇らしいし、この街に土俵があるからこそ味わえた喜び。子どもたちの励みにもなっている」と永井さん。「2人で切磋琢磨し、さらに上をめざしてほしい」と期待を寄せる。
 春場所は、琴ノ若がかねてから目標にしていた「琴ノ若で優勝」する最後のチャンス。賜杯をつかむことができれば、夏場所で「琴桜」として綱とりに挑むことになる。

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