
勝ち点1差が、14年ぶりの栄冠の前に立ちふさがった。リーグ最終節の12月6日。2位の柏レイソルは、FC町田ゼルビアを1―0で破ったが、首位・鹿島アントラーズも勝ち、逆転優勝に届かなかった。それでも昨季17位のチームは堂々の2位。サポーターから感謝のコールが沸き上がった。
試合開始前、バックスタンドに浮かび上がったのは「一心同体」の人文字。熱気が日立台を包み込んだ。前半、町田の個の力に押される場面もあったが、大黒柱のDF古賀太陽、数多くのビックセーブでチームを救ってきたGK小島亨介を中心に、今季リーグでのクリーンシート(無失点試合)総数1位の守備陣が、ゴールを許さない。
後半18分。今季急成長のMF中川敦瑛が中央を突破。パスを受けたMF瀬川祐輔が右サイドから出した鋭いクロスは、相手DFがクリアしきれずオウンゴール。その後も今季の攻撃の起点となったMF小泉佳穂を中心に、町田ゴールに迫り続けた。そして試合終了。鹿島の勝利をピッチ上で知った選手たちは肩を落とした。
J1優秀監督賞に選ばれたリカルド・ロドリゲス監督は試合後、「今季、選手たちは魅力的なサッカーを表現してくれた。レイソルというクラブに、日本のサッカー界に、新しい時代を築くスタートを切ることができた。来季、我々は必ずタイトルを取れるように頑張る」と誓った。
小泉は「(来季はレイソルへの)対策も進み、相手も慣れてくる。それを超えていかなければいけない」と自らを奮い立たせた。
ハイブリッド型がリーグ変えるか 朝日・潮記者、講演で
サッカーW杯を8大会取材した朝日新聞スポーツ部記者の潮智史さんによる講演会「スポーツから見えるこの国と世界」が12月9日、松戸市であり、この中で潮さんは今季のレイソルにも触れ、「とても面白いサッカー」と評した。
潮さんは「世界のトレンドは、よりダイレクトに相手ゴールに攻め込み、前線から守備をしてボールを奪うというもの。今年のレイソルは、これにボールをつなぐことを加えた『ハイブリッド型』」と解説。「他チームの監督が『今季、一番刺激を受けたのがレイソルのサッカー』と話していた。レイソルのサッカーがJリーグを変えるかもしれない。そうなれば、こんな楽しいことはない」



