複数オファーからJR東日本に 社長「今からワクワク」、GR東葛譲渡で会見

写真左からNECの森田隆之社長、JR東の喜㔟陽一社長、リーグワンの玉塚元一理事長=都内

 ラグビー・リーグワン2部のNECグリーンロケッツ東葛(GR東葛)の譲渡先が、JR東日本に決まった。複数の企業が興味を示すなか、グリーンのジャージーを引き継ぐのは、コーポレートカラーが同じ緑色のJR東日本となった。開幕2日前の「逆転トライ」ともいえる発表に、選手やファンから喜びが沸き上がった。
 12月11日午後5時半、JR東の喜㔟陽一社長、NECの森田隆之社長、リーグワンの玉塚元一理事長の3人が都内で記者会見に臨んだ。
 会見では、GR東葛が今季終了後の2026年7月に、NECからJR東日本に譲渡され、26~27シーズンから新チームがリーグワンに参戦することが発表された。ホストタウン、ホストスタジアムは千葉県東葛エリアの8市、柏の葉公園総合競技場で変わらず、アカデミーやファンクラブも引き継がれる。NEC我孫子事業所内にある練習場やクラブハウスは、NECがJR東日本に貸与し、引き続きチームが使う。新チーム名は、今後相談していくという。
 会見で喜㔟・JR東社長は「ラグビーの『ワン・フォー・オール オール・フォー・ワン』の精神は、みんなで鉄路を守るJRの企業活動に通じる精神」と話し、「日本ラグビー界の伝統あるチームで来季戦えることを、今からワクワクしている」と話した。また森田・NEC社長は、ファンやスポンサー、ホストタウンの自治体に向け「JR東日本が新たな伝統を築いてくれることを確信している。譲渡後も、引き続き熱い応援をお願いしたい」と述べた。
 今回、JR東日本に譲渡の打診があったのは9月。NECが「譲渡に向けた検討を始める」と発表した後だった。リーグワン経由での打診を受け、喜㔟・JR東社長が森田・NEC社長から直接、NECが手放す理由をざっくばらんに聞いたという。そのうえで、企業チームを現在も5つ抱えているJR東として前向きに検討することを決めた。喜㔟社長自らが我孫子の練習場やクラブハウスも視察する熱心さだった。
 一方でNECには、複数の企業からオファーがあった。その中で、5つの企業チームを運営する実績があり、ホストタウンの東葛地域とも縁が深いJR東を「ベストな譲渡先」として選んだという。
 開幕直前での発表について、NEC側は「JR東の喜㔟社長に『開幕前に選手に吉報を選手に届けたい』との思いがあったから」と打ち明ける。
 GR東葛の選手の4割は社員選手が占めている。社員選手への対応について喜㔟社長は「これから、選手の意向を聞きながら考えていく」としながら、転籍を希望する場合には社員として迎える可能性も示唆した。
 またJR東日本には、関東ラグビーフットボール協会のトップイーストリーグで戦う「JR東日本レールウェイズ」があり、両チームの関係性については「両チームともしっかり支える。レールウェイズからGRのメンバーに入る選手が出ることを期待したい」と話した。
 GR東葛の選手たちにはこの日、プレスリリースが出る前の午前9時過ぎのミーティングで、譲渡の報告がされた。選手、スタッフからは「おーっ」という驚きの声があがり、ミーティングルームに喜びがあふれたという。かつて日本選手権で初優勝した時には、東日本社会人リーグ7位から巻き返しての優勝だったことから「ミラクル7」と言われた。今回の開幕前の発表について、GR東葛とJR東は緑色が共通項だったことから、ある関係者は言った。「ミラクルグリーン、だ」

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