11月1日に国立競技場であったサッカーのルヴァン杯決勝で、柏レイソルのFW細谷真大が後半に1点を返すと、会場は大歓声に包まれた。追撃を期待したが1―3で広島に敗れた。沸く広島、静まる柏。4階記者席で、私はひとり「完敗かぁ」とうなった。
試合後、柏ファンにコメントを求めた。「あの1点で追いつけそうな雰囲気になった。リーグ戦最後につながるいい試合でした」。希望に満ちた言葉が返ってきて、ピッチに近い席の盛り上がりを感じた。
2022年春、柏に赴任した。「街は試合の日、にぎやかなんだろう」と期待したが成績は23年、24年とも17位の残留争い。のぞいた居酒屋で、静かに飲むファンの姿を何度か見た。私はいつしか、「レイソルがんばれ」と思うようになっていた。
1月の新体制発表会に出向くと、リカルド・ロドリゲス新監督が、何度も「情熱」と口にしていた。あれから10カ月。リーグ戦順位は20日現在、首位に勝ち点1差の2位につけ、優勝を狙う。
「監督就任1年目で2位は、できすぎだよー」と笑って仲間とビールを飲む市民を見る。成績が話題に上る。レイソルは街とともにある。そう肌で感じながら、残り2試合を見守りたい。
(キーボード)レイソル あと一歩



