小学校でも7時から預かります 「朝の小1の壁」対策で松戸市、全校対応目指す

学校内の朝の預かり場所で自習をする子どもと、子どもに声を掛けるシルバー人材センターの「見守り員」=松戸市

 「朝の小1の壁」。小学校の登校時間が保育園より遅いため、保護者が朝の子どもの預け先に困る問題だ。この問題を少しでも解決しようと、松戸市は登校時間前に子どもを校内で預かる「見守り事業」を始め、市内45の市立小学校のうち11月下旬には20校にまで対象校を広げた。市は「できるだけ早く全校で対応できるようにしたい」としている。
 同市の小学校の登校開始時間は学校によって異なるが、午前7時40分~8時。この時間になるまで昇降口は閉まったままで、子どもたちは校舎に入ることができない。一方で多くの保育園は午前7時から順次、子どもを預かり始めている。そのため、小学校に入学したばかりの1年生が、登校時間までどう過ごすかなど、子どもの朝の居場所が全国的な課題になっている。
 そこで同市は、学校の特別教室や体育館、学童保育室などで、午前7時からシルバー人材センターの会員が子どもを見守る事業を始めた。子どもたちは、保護者とともに直接、預かり場所へ行って受け付けをした後、自習や読書などをして過ごす。登校時間になったら昇降口から校舎へ入る。利用は無料。昨年度から試行を始め、千葉県内では初の取り組みという。
 市内のある小学校では、小学1~3年生9人が利用を登録。見守り場所となっている家庭科室で、子どもたちは保護者が用意したプリントで勉強したり、持参した本を夢中になってめくったりしている。シルバー人材センターの「見守り員」は2人が常駐し、子どもたちに声を掛けながら、様子を見守る。
 小2の子どもを預ける都内で働く母親(43)は「この見守り事業で、30分早く仕事を始めることができれば、30分早く家に帰ることができ、夜には30分、家族の時間を持つことができる。大変、ありがたい」と話していた。
 事業は、昨年度から試行が始まり、登録者は約100人。保護者の9割は利用の理由として「保護者の出勤時間と登校時間が合わないため」と答えているという。
 市は全校での実施を目指し、校内の預かり場所の調整や、学校ごとの見守り員の確保を順次進めている。担当の教育総務課は「学校の始業前に子どもが安心して過ごせる場所を整えていきたい」と話している。
   ◇   ◇
 「朝の小1の壁」を巡っては、千葉県知事や千葉市長を含む首都圏の9都県市首脳会議が、11月10日、文部科学相に、「壁」解消に向け国が地方自治体に十分な財政措置をとることなどを求める要望書を提出。また、柏市の太田和美市長は11月の市長選の公約の一つとして、朝の預かり事業創設を掲げていた。

タイトルとURLをコピーしました