
市役所新庁舎の移転計画を一度白紙撤回した松戸市は、建て替え場所の再検討に向けた、市民への意見聞き取りを11月1日から始める。6月の市長選を経て凍結された新庁舎の議論が、再び動き出す。
松戸隆政市長が、10月29日の定例記者会見で発表した。今回の調査では、JR松戸駅東口の新拠点ゾーンへの移転と現在地建て替えの2案を比較検討するにあたり、どのような項目で比較するのがいいか、などを聞く。建設費や建設期間などの項目のほか、さらに留意すべき比較項目をたずねる。11月1~9日に、市HPからオンラインやメールで回答してもらうほか、4~7日は本庁舎や8支所への来庁者に、直接、聞き取り調査もする。
この調査結果を、11月中~下旬に予定している第三者によるプロジェクトチームに示して意見を聞き、さらに議会の議論も踏まえ、2案の比較検討項目を決める。市はこの項目に基づいた資料をまとめ、来年2月にあらためて市民からどちらの案がいいかなど、意見を聞く。プロジェクトチームの意見もまとめ、議会へ報告。その後、市として新庁舎の建設場所について方向性を決め、議会と協議していくという。
松戸隆政市長は「市民への十分な情報公開のもと、現地建て替えと移転建て替えにかかわる建設費や期間などを算出し、改めて比較検討する」と述べた。
市役所建て替えを巡っては、本郷谷健次・前市長時代に駅東側の新拠点ゾーンへの段階的建て替えを決め、一部用地も購入した。しかし、市民への説明が不十分などの反発があり、現在地での建て替えを求める声もあるなか、今年6月の市長選で移転建て替えの白紙撤回を掲げた松戸氏が初当選。松戸・新市長は6月議会で「現在の移転を前提とした新庁舎整備基本計画の策定をいったん中断し、これまでの検討経過も含め、一度立ち止まって内容を精査する」と表明した。
その後、8月には第三者によるプロジェクトチームの立ち上げなどの、当面のスケジュールを発表した。さらに老朽化が進み、耐震性に問題がある本館、新館の行政機能を、駅周辺の仮庁舎へ2026年度末までに分散移転する方針も明らかにし、移転準備のための1億円の補正予算案が可決された。仮庁舎の使用が2032年度末までだった場合には、賃料などで54億円が必要と見込んでいる。



