閉館の危機にある柏市のミニシアター「キネマ旬報シアター」。空調設備更新などのためのクラウドファンディング(CF)を始めて約1カ月、俳優の井浦新さんや映画監督の三島有紀子さんら映画関係者からも、熱い支援の声が寄せられている。7000万円の目標に対し、達成率はまだ26%(10月1日現在)にとどまっているが、シアターは支援の広がりを期待している。
CFの経緯は「キネマ旬報シアター、閉館の危機 空調老朽化、悩みながらCF」の記事で
シアターはJR柏駅に隣接する商業ビルの1、2階にあり、スクリーン数は3。以前営業していた映画館の跡に、2013年に開館した。国内外の名作や話題作、インディペンデント作品、ドキュメンタリー映画などを上映してきた。しかし近年、空調施設の老朽化が進み、エアコンがいつ止まるか分からない状況に陥っている。上映機器の交換も迫られており、7000万円を目標にしたCFを8月末から始めた。
野田市が舞台の映画「福田村事件」で主演を務めた俳優の井浦新さんは、何度か舞台挨拶でシアターを訪れたことがある。井浦さんは自身のSNSで「こんな映画館が住んでいる地域にあったらいいよなぁと思うほど、映画のセレクションはもちろん館内の雰囲気も時代を感じれてとても素敵です。柏市の皆さまにとってこの文化施設は宝物だと、私は羨ましく思っています」「(ミニシアターは)心を動かし潤いを与え、人間らしく素晴らしい体験ができる大切な文化施設です」と、存続のための支援を求めた。
映画監督からもメッセージが続々届いている。「絶対に無くなってほしくない、無くなってはいけない存在」(甲斐さやか監督)、「これが、私が思う映画館の理想かもしれない」(三島有紀子監督)、「どうか、いつまでも素敵な映画館が存続し、大事な文化の拠点であり続けますように!」(塚本晋也監督)…。
CFの応援メッセージ欄には「心の栄養をくれる大切な場所」「柏に越してきた理由の一つは、キネ旬シアターさんがあるか」「気持ちがしぼんでしまった時に足がむく心のよりどころ」などと、それぞれの想いが書き込まれている。
また「『バーフバリ』や『RRR』など、たくさんのインド映画を観る機会があり、大のインド映画好きになりました」「京都アニメーション放火事件のあと、京都アニメーションの映画特集をしてくれたことがとても嬉しかったです」「『バーレスク』の音感上映が最高でした」など、上映作品についての思い出も届く。
シアター側は現在、CFのほかにも、館内の窓口や募金箱での寄付受付も始めた。CFの申し込みは、映画や演劇のCFサイト「シネファン」(https://cinefa.terraceside.jp/projects/3)で。11月3日まで。