
漫画家やなせたかしと松戸市の縁を伝えるミニ展示「やなせたかしと大橋正」が、松戸市の複合施設「ひがまつテラス」の図書館で、19日から始まった。紹介する資料はわずか7点だが、やなせの初期の4コマ漫画「メイ犬BON」など、NHKの連続テレビ小説「あんぱん」を見る楽しみが、さらに増す展示内容になっている。31日まで。
「あんぱん」のモデルとなったやなせは、1937年、東京高等工芸学校に入学し、デザインなど多くのことを学んだ。その高等工芸は東京大空襲で校舎が全焼、終戦後に移転した先が松戸市だった。49年に千葉大工芸学部(現・工学部)になり、64年に千葉市へ移るまで、学生たちは松戸で学んでいた。同市はこれまで高等工芸の資料や関係者の作品を収集しており、今回、「あんぱん」の放送をきっかけに、やなせや卒業生と松戸市のかかわりを知ってもらおうと、資料の一部を展示することにした。
紹介されているのは、やなせが三越の宣伝部に勤めていたころに表紙イラストを描いた三越劇場の公演パンフレット、初期の4コマ漫画で59年に自分で出版した「メイ犬BON」、短編集の「ふしぎな絵本 十二の真珠」(出版・山梨シルクセンター)などで、短編集には初期のアンパンマンが登場する。
展示では、高等工芸のやなせの先輩で、やなせが印象深い同窓生として名を挙げている大橋正のポスターも1点、紹介している。大橋は明治製菓やキッコーマンの宣伝広告を手掛けており、2002年に松戸市立博物館で開かれた大橋正展では、やなせが講演をしている。
展示会場が図書館とあって、ミニ展示のそばには、「アンパンマン」をはじめとするやなせの本が並び、手にとってやなせ作品に親しむことができる。
松戸市文化財保存活用課の担当者は「やなせや大橋ら有名人を排出している学校と、松戸がかかわっていることを、この機会にぜひ知って欲しい」と話している。