我孫子市の地歌筝曲演奏家、岡村慎太郎さん(52)が、芸術選奨の音楽部門で文部科学大臣賞を受賞した。
地歌は、三味線の響きに歌をのせた伝統芸能の歌曲で、箏とも合奏することが多い。岡村さんは幼いころ、たまたま姉が通っていた教室で地歌筝曲と出会い、邦楽の道へと歩みだした。「歌詞は文学的で、底が見えないくらいの深さがある」。一方で、お伊勢参りの名所を紹介する曲もあり、「いまの旅行雑誌みたいな楽しさもある」と、その魅力にひかれる。
我孫子や都内で教室を開きながら、演奏活動に取り組み、昨年、初めて自分の会に挑戦。「哀感にあふれる詞賞の世界と快活にも感じられる音楽性をうまく調和させた」と高く評価され、3月に芸術選奨に選ばれた。
受賞を喜びながらも、気になるのは「地歌が、今の人たちにはなじみがなくなってしまった」ことだ。「現代の感覚にあうアプローチも考えたい」と、新たな挑戦にも意欲をみせる。
4月23日には、市役所を訪れ、星野順一郎市長らに受賞を報告、哀愁漂う地歌「黒髪」を披露した。星野市長は「心にゆとりとやすらぎを与えてくれる」と、聞き入っていた。
地歌の岡村さんに芸術選奨 我孫子在住、新たな挑戦も
