金太郎が、武者が、和紙に力強く描かれ、大空へと羽ばたいた。制作したのは、野田市生涯学習センターが主催した体験講座の参加者たち。「揚がった! 成功~」。天へと続く凧糸を通し、それぞれが手応えを感じていた。
2月12日、同市の江戸川河川敷。微風とコンディションはあまりよくなかったが、今年の講座に参加した4人は、風を読みながら、自作の凧を次々と揚げていた。楠木正成の六角凧を作った野田市の吉村光代さん(57)は、「凧を自分で作ることができると聞いて、挑戦した。和紙に絵を描くのも楽しかった」と、空へと昇る凧に満足そう。
講座は、この日の凧揚げも含め、全6回。日本の凧の会の石栗照平さん(78)が講師となり、1月下旬から生涯学習センターで開かれた。4人はまず、凧の骨にする竹ひごを小刀で削り、バランスを調整。次に、和凧の様々な図案の中から好みの絵を選び、和紙をその上に敷き、図案をなぞるように筆で輪郭を描いた。
石栗さんは時折、「手が震えても味のある線になるよ」「凧からはみ出すくらい大きく描いた方が、空に上がると大きな絵になる」などとアドバイス。さらに染料で彩色をほどこし、ひもを調整して、凧を完成させた。
講師の石栗さんは、50代半ばで和凧に出会い、子どもも大人もみんなで楽しめると、どっぷりはまった。約20年前に野田市へ移り住むと、一緒に遊べる仲間を作ろうと、和凧作りの講座などに取り組んできた。「凧作りは、常に挑戦。同じ凧を作っても同じように揚がらない。和紙の選び方、竹ひごの強度など、工夫することがたくさんある」と、その魅力を紹介する。
和凧作りについての問い合わせは石栗さん(090・4749・0299)。
